■空き家を活用して勉強スペースの運営
丸岡中学校3年生 丸岡LOVERS(ラバーズ) 空き家チーム
◇丸中生が作りだす生徒が集う場
Well-beingの指標は
1自己実現
3自分らしくいられる
5楽しくわくわくできる
6希望を持って暮らせる
7助け合える
◇「たまには息抜きしよう!」
12月のある日の午後。丸岡城近くの空き家に、丸岡中学校3年生の生徒たちが続々と入ってきます。部屋の中は、赤や緑のモールで飾られ、机の上にはケーキやジュースが盛りだくさん。いつもはここで受験勉強を頑張る生徒たちも、この日はささやかな「クリスマスパーティー」を楽しみに11人が集まりました。
「学校以外に同級生たちと集まれる場所がなかったから、うれしい」と顔をほころばせる生徒たち。みんなでケーキを頬張り、ゲームで盛り上がるなど、空き家だった一軒家は、生徒たちの笑い声にあふれていました。
◇自分たちで作るスペースは宝物
今回の集まりを企画したのは、同校の大西愛音(おおにしあのん)さんと藤嶋一葉(ふじしまかずは)さん。2人は丸岡を盛り上げる活動を考える総合学習「丸岡LOVERS」の空き家チームのメンバーで、秋頃からこの空き家を活用し、月に2回「勉強スペース」を運営しています。
「空き家チームでアンケートを行ったとき、勉強スペースが欲しいという声が一番多かったんです。図書館は席が少ないので、もっと気軽に来てワイワイ楽しく勉強できたらいいなと思い、運営を始めました」。
使う人の居心地を最大限に考えるため、必ず意見を聞き、改善点を話し合います。一人で集中して勉強したい人、教え合いをしたい人。両者の居心地がいいように机の配置を工夫した勉強スペースには、同級生たちが集まります。
今回のような楽しみも作りながらたくさんの人に来てもらいたい2人は「将来的には、集中もできて成績も上がるのを目標にしていて、勉強スペースで頂点をとりたい。後輩にも受け継いでほしいな」と話します。
■住民主体で地域課題を解決
城のまち まちづくり協議会
◇空き家を活用しやすくするためウッドデッキ作り
Well-beingの指標は
1自己実現
5楽しくわくわくできる
7助け合える
◇「できることからやろう」
実は、この空き家を整備したのは、地域に住む皆さんです。「できることから」という、城のまちまちづくり協議会メンバーの一言から、活動は始まりました。
まちづくり協議会が発足して約15年。活動の参加者は固定し、事業もマンネリ化ぎみの状況を打開しようと、地元住民にアンケートを実施。「まずは住民の意見を聞きたかった」と同協議会事務局長の嶋﨑隆和(しまさきたかかず)さんは振り返ります。
◇住民同士で課題解決を考える
アンケート結果を元に、地元住民を巻き込んだワークショップを開催しました。小学生から高齢者まで60人以上の住民が参加。課題と解決策について話し合い、6つのプロジェクトチームが立ち上がりました。
その中の一つが、空き家活用プロジェクト。空き家が百軒以上ある同地区で、課題として最も関心が多かった分野です。運良く、丸岡城近くの空き家を借りることができました。
大量に残っていた荷物や雑草などの片付けと同時に進めたのが、中庭のウッドデッキづくり。「自分たちでできることを話し合い、ウッドデッキをつくることに。イベントの企画や建物の管理など、多くの人に関わってもらいたい」というプロジェクトメンバーの思いが詰まっています。暑い中、行われたリフォームには、近所の人や大学生など多くの人が参加しました。
◇子どもも高齢者もここから交流を広げて
地区の親子やリフォームに関わった人が集いにぎわった「城のまちフェスティバル」。完成したウッドデッキでは、子どもたちにかき氷が振る舞われました。
チームのメンバーは、定期的に空き家に集まり、住民たちと杯を交えながら、次の活用に向けて話し合いを行っています。
◆6つのプロジェクトチーム
地区の小学生から高齢者までが4回にわたるワークショップに参加し、プロジェクトチームができました。
・空き家活用
・地域の絆づくり
・公園づくり
・防災推進
・メイン通り整備
・子どもたちの「~たい」であふれるまちづくり
◆城のまち地区のプロジェクトメンバ―
◇地域の絆づくりプロジェクト
大濃節子(おおのせつこ)さん 山本珠美(やまもとたまみ)さん
誰一人取り残さない地域づくりに取り組んでいます。いざという時に助け合える地域にするため、ご近所同士が知り合うきっかけとして、習い事マッチングを企画しました。つながる活動を地道に続けていきたいです。
◇空き家活用プロジェクト
前田和磨(まえだかずま)さん
地域の課題となっている「空き家」を活用して、地域住民の交流や活動を応援する場所づくりに取り組んでいます。今後も活動の輪を広げ、この地域を盛り上げていきたいです。
◇空家対策室からひと言
空き家を地域の課題として捉え、住民の皆さんが主体的に空き家の利活用に取り組むことで、空き家の価値や問題について地域の人々に知ってもらえる良い活動です。今後の活動にいろいろな可能性を期待しています。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>