福井の昔の写真を、学芸員の解説を添えて紹介します。
※写真は、本紙またはPDF版をご覧ください。
■福井の名橋九十九橋の変遷
江戸時代、九十九橋は「天下の奇橋」として全国に知られる橋でした。南側の河原部分が笏谷石(しやくだにいし)製、川が流れる北側部分は木製という大変珍しい構造をしていたためです。
「半石半木」だった橋は、明治42年に全体が木製の橋に架け替えられると、その外観から通称「メガネ橋」とも呼ばれるようになります。当時、周辺の南岸は市民の憩いの場であり、芝居小屋や巡回動物園、大相撲の福井巡業が行われるなど、福井市最大のイベント会場としてもにぎわっていました。
昭和になると、近代的な鉄筋コンクリート橋への架け替えが計画されます。新しい橋が完成したのは昭和8年。この年、福井では陸軍特別大演習が行われ、参加する軍隊が完成直後の九十九橋を通過しました。
その後、戦震災を耐え、福井の復興と近代化を見届けた九十九橋は、昭和61年に現在の姿に生まれ変わりました。交通量の増加に合わせて幅員を広げ、親柱には、明治時代にあった常夜灯を再現した意匠が施されました。
現在、郷土歴史博物館では、企画展「城下町福井と九十九橋」を開催中です。この機会に、福井が誇る名橋の歴史に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
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