福井の昔の写真を、学芸員の解説を添えて紹介します。
■福井と水害
福井豪雨から今年で20年
▽昭和23年 福井地震と水害
福井豪雨から20年。福井市街地は、九頭竜川、日野川、足羽川などの河川の水位よりも低い場所に位置するため、福井豪雨以前も度重なる水害に悩まされてきました。
戦後、特に大きな被害をもたらしたのが、昭和23年の福井地震と豪雨による複合災害です。6月28日に発生した福井地震は、福井県下に全壊3万3482戸、死者3848人という被害をもたらしました。九頭竜川、足羽川などの堤防に亀裂が入り、沈下・崩落するなど、影響は河川にも及び、それが約1か月後の大水害の一因となります。
7月24日から降り続いた雨で河川が増水。25日午後から雨がさらに激しくなり、同日18時ごろ、中藤島村灯明寺地籍(現福井市灯明寺地籍)の九頭竜川左岸堤防が決壊します。西藤島村(現福井市西藤島地区)から福井市西北部一帯が、泥海と化しました。足羽川、荒川なども氾濫して各所で市街地に流れ込み、福井県下で床上浸水2156戸に及ぶ大惨事となりました。
昭和の時代には、その後も昭和28年9月(台風13号)、34年8月(台風7号)、36年9月(第二室戸台風)、39年7月、40年9月(奥越豪雨)、47年7月、56年7月など、それぞれ10年たたないうちに水害が起きています。
▽平成16年7月福井豪雨
平成16年7月18日未明から足羽川流域で降り出した雨は、しだいに激しさを増し、猛烈な豪雨となりました。1時間降水量が、美山町(現福井市美山地区)で96mm、福井市で75mmと、いずれも観測史上最大を記録。山間部では、土石流が集落を襲い、足羽川に架かるJR越美北線の鉄橋は、5か所で橋桁が落下、流出しました。
平野部の市街地では、18日午前から内水氾濫による浸水が広がりました。その後、上流からの濁流で足羽川の水位が上昇し、堤防から水があふれ出します。そして13時34分、左岸春日1丁目付近がついに決壊、東西約3.5kmに及ぶ広い範囲が浸水しました。
福井県下で、死者4人、行方不明1人、床上浸水3313戸、床下浸水1万324戸という甚大な被害を記録しました。
福井豪雨を受けて、足羽川や日野川では、水害の再発を防ぐため河床掘削や護岸などの工事が行われ、現在は、川の水が当時よりもスムーズに流れる状態になっています。しかし、気候変動により自然災害が激化している近年、想定を超える災害がいつ発生するか分かりません。
普段から洪水・土砂災害ハザードマップなどを参照し、いざというときの避難行動について確認しておくことが大事です。そして、もし「避難指示」が出されたとき(高齢者や障がいのある人など、避難に時間がかかる人は「高齢者等避難」が出されたとき)は、迷わず、速やかに、安全な場所に避難してください。
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