今月のテーマ「いきいき生きる」
■『新・地図のない旅III』
五木寛之/著(平凡社)
作詞家、小説家、エッセイストとして長年にわたって活躍している御年91歳の著者。「楽しんでやれることだけをする」など、独自の健康法でほぼ医者にかからず生きてこられたと言い、いきいきした人生がよくうかがえる。本書は北國新聞などいくつかの新聞に連載されたエッセイを編集したもので、北陸がよく話題に上っている。福井に住む私たちにとって、楽しく読める一冊。
■『きらん風月』
永井紗耶子/著(講談社)
寛政の改革後、隠居を勧められた元老中の松平定信は、旅先の掛川で『東海道人物志』を書いた栗杖亭鬼卵(りつじようていきらん)なる人物に出会う。今はたばこ屋の主で読本も戯作も書き、公家とも縁を持つという鬼卵の、少年時代からの昔語りで物語は進んでいく。上田秋成や円山応挙など、時代の文化人や商人たちと交流し、自由に生きた鬼卵。身分も立場も真逆の2人の対面の決着は……。
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