―『上岬の文化的景観』編(6)―
E子:今季の水仙のシーズンも終わりました。
水仙畑の写真を撮っている時に出会った農家さん達に聞きましたけれど、ここ最近は天候のせいか、年によって花の咲き始めの時期がすごく早くなったり、逆に遅くなったりしているらしいです。私も満開の水仙畑という光景にはなかなか出会えなかったです。
学K:自然環境が相手ですので、思った通りにはいかないものですよ。
水仙栽培だけでなく、選定地区内で主な生業として営まれてきた林業や農業、漁業も同じことが言えます。長年にわたって自分達がすんでいる場所の自然環境を利用して、人々はそこならではの生活を営んできました。その結果、生まれた景観が文化的景観です。
「上岬の文化的景観」では主な生業は時代にあわせて変わっていきましたが、冬の副業として行われてきた水仙栽培だけは変わらず残ったのです。
E子:そういえば平日は他でお勤めしているって言っていた農家さんがいました。
水仙シーズンがひと段落つくと、水仙を見に来る人も来なくなるし農家さんもお休みになるし寂しくなりますね…。
学K:農家さんのお仕事は、水仙が咲いている時以外にもあるって言ったじゃないですか!
それから「上岬の文化的景観」の見どころは重要な構成要素の「水仙畑」以外にもまだまだあります。次の水仙のシーズンまでは、ハイキングのつもりで梨子ヶ平園地の「坂ヶ平の石像」を訪ねたり、海沿いの「呼鳥門」や「鳥糞岩」を訪ねてみたりするのもよいですよ。意外な歴史がわかっておもしろいです。
また同じ「越前海岸の水仙畑」で重要文化的景観の選定を受けた福井市の下岬地区、南越前町の糠地区を訪ねるのもおすすめです。
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