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ふるさと散歩道

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福井県鯖江市

■第350回 文化財編(27) 伝統行事が繋ぐ豊穣と平安の祈り
伝統行事が大切に受け継がれる河和田地区。その地名は継体天皇の娘・茨田皇女(まんたのひめみこ)に由来し、「茨(カヤ)」がカワに転訛して成ったとされます。皇女ゆかりの尾花町では禅定山の頂で行われる新年の厄祓い行事「殿上(でんじょう)まいり」が往古から続いています。
また、「薊田(アザミダ)」を由来とする莇生田町では夏に稲虫を松明で除ける「虫おくり」が行われます。当町では南北朝時代の武将・新田義貞あるいは朝倉氏家臣で莇生田に館を構えた塚田五郎左衛門が稲につまずいて討たれたために怨霊と化し、稲虫となって田畑を荒らすと伝えられてきました。他方で斎藤実盛が稲虫と化したとする説もあることから、御霊(ごりょう)は実盛ゆかりの南井町に送って鎮められました。
さて、南井町の南屋敷遺跡からは平安時代後期から鎌倉時代にかけての陶製蔵骨器が出土しています。発見時には火葬骨が納められており、越前国内でこうした葬送儀礼を行なった初期の事例を示します。高い技術と燃料・時間・費用を要する火葬は、貴人や僧侶など特権階級の葬送方法だったのです。遺跡と実盛の関係は明らかでないものの、平安の願いと祈りが悠久の時を繋いでいます。
(文化課 藤田彩)

◇平成17・18年度指定の市指定文化財
殿上まいり(尾花町)
虫おくり(莇生田町)
南屋敷遺跡出土品(南井町)
春慶寺の大杉(米岡町)
木造魚籃観音立像(深江町)

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