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ふるさと散歩道

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福井県鯖江市

■第345回 文化財編(22) 五穀豊穣の願いが満ちる中野の郷
明治7年(1874)に誕生した中野村は、近世以来の花出(はないで)・木引・出口・原・樋口・町・曲木村に中野松成村を加えた八ヶ村から成立しました。惣社の中野神社の前身は穀物を司る倉稲魂命(うかのみたまのみこと)を祭る稲荷神社で、境内社には鞍谷川と文室川に挟まれた農地の水を守護する江守神社(元は観音堂)が祭られていました。明治41年に木引・出口の蝙蝠(こうもり)神社(大歳神社とも。大歳神は倉稲魂命の兄とされる穀物神)・原の日吉神社・樋口の白山神社・町の多門神社・曲木の蔵王神社を稲荷神社に合祀し、明治44年には天候を司る帝釈天を祀った雨降神社を、翌年に江守神社を合祀して現在の中野神社(明治43年改称)となりました。
中野神社には平安時代~鎌倉時代の作と考えられる神像・仏像・狛犬が安置されています。一般に礼拝対象としての神像造立は平安時代後期に全盛期を迎えるとされ、同社の女神坐像・天部形立像もこの時代の制作と考えられます。
旧中野村の小社に宿った豊穣の悲願と自然への畏敬の念は、耕地整理と農地改革を経て現代に受け継がれ、私たちに豊かな恵をもたらしてくれています。
(文化課 藤田彩)

◇平成9年度指定の市指定文化財
古瀬戸鉄釉印花文四耳壷(西大井町)
絹本著色方便法身尊形像(石田下町)
木造女神坐像・木造男神坐像(2像)・木造菩薩形立像・木造天部形立像・木造狛犬(中野町花出)

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