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ふるさと散歩道

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福井県鯖江市

■第342回 文化財編(19) 難問に挑め!算額を愉しむ先人たち
中野神社と石部(いそべ)神社に掲げられる色彩豊かな「算額」、ここからは和算家の研鑽(けんさん)と村の賑わいが垣間見えます。明治の新時代が始まると全国の神社は整理され、小社が合祀されて姿を消していきました。そんな時代の間(はざま)、中野神社の算額はかつて中野村樋口に祀られていた稲荷神社の様子を、石部神社の算額は1876年に山王神社と八幡神社が合祀され、三社が現在地に遷座したことを祝う村人の宴の様子を記録しています。
そもそも算額とは、和算家が自身の発見した問題や解法を書いて奉納した額や絵馬を指します。江戸時代後期には難問解決を神仏に感謝し、さらに自作の問題を宣伝するために算額を奉納する風習が全国的に広まっていました。現在、福井県内で確認されている算額は二十三面ありますが、そのうち九割以上が丹南地域に集中しています。鯖江市域には七面の算額が遺っており、多くの和算ファンがいたことが分かります。
数学遊戯ブームで高度に発展した和算法でしたが、明治以降は西洋数学に置き換わったため、次第にこの文化は廃れていきました。
仲間と神社に参拝し、ふと算額を見つめると、ゲーム感覚で問題に挑んだ先人の心躍る瞬間が蘇るようです。
(文化課 藤田彩)

参考:福井大学「郷土数学」の利活用プロジェクトチーム「福井県現存算額マップ(石部神社篇)」

◇平成2・3年度指定の市指定文化財
白山神社の大杉(中戸口町)
中野神社の算額(中野町花出)
石部神社の算額(磯部町)
三峯城跡(上戸口町)

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