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ふるさと散歩道

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福井県鯖江市

■第343回 文化財編(20) 文殊山に息づく神仏への崇敬
奈良時代以降、山岳修験の霊場となった文殊山は、十一面観音に帰依した泰澄が開いたと伝わる美しい山です。戦国時代には朝倉氏の防衛拠点が置かれたことで織田信長の侵攻を受け、この兵火によるものか、白山神社(大正寺町)に安置される不動明王坐像は両腕と下半身が欠失しています。
さて、文殊山と同じく「越前五山」の一つである白山は「日本三霊山」にも数えられ、最高峰は御前峰(ごぜんがみね)、次いで大汝峰(おおなんじがみね)、南方に別山(べっさん)が連なります。三峰には白山比咩神(しらやまひめのかみ)・大汝神・別山神がそれぞれ祀られ、白山信仰は山を水源とする九頭竜川・手取川・長良川の流域に広がりました。
平安時代後期、本地垂迹(ほんじすいじゃく)説(仏が神の姿を借りて現れたとする神仏習合の考え方)が隆盛すると、平泉寺をはじめとした白山の拠点寺院は比叡山延暦寺の末寺となります。宗教的権威を高めるため、「白山三所権現」の本地仏には十一面観音・阿弥陀如来・聖観音が配当され、造仏も盛んになりました。
今も片上神社(南井町)には鎌倉時代後期の作と推定される三尊が安置されており、地域に脈々と受け継がれる山岳への崇敬が垣間見えます。
(文化課 藤田彩)

◇平成5・6年度指定の市指定文化財
木造薬師如来坐像(下新庄町)
木造十一面観音菩薩立像(有定町)
木造十一面観音菩薩・阿弥陀如来・聖観音菩薩坐像(南井町)
木造不動明王坐像(大正寺町)
木造地蔵菩薩坐像(日の出町)
木造聖観音菩薩立像(まなべの館)
※上戸口町旧蔵

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