文字サイズ
自治体の皆さまへ

ふるさと散歩道

9/50

福井県鯖江市

■第344回 文化財編(21) 浄土への憧れと仏教の広がり
平安から鎌倉へと時代が移ろう頃、貴族政治の衰えと武士の台頭が不安定な政情を醸し、人々の間には浄土への強い憧れが生まれていました。救いとなる仏教界では幅広い階層を対象とする新しい変化が起こる一方で、祈祷や学問を重んじる旧仏教勢力との対立が始まり、争いの火種も生まれました。
承元元年(1207)、浄土宗を開いた法然上人に法難が降りかかると、門弟であった藤井善信(後の親鸞聖人)も越後への配流が決まります。道行きの途、聖人は阿弥陀如来坐像を背負って上野ヶ原(うわのがはら)(鯖江)に到達し、この地で念仏道場を開きました。
さて、この道場は後に上野別堂(うわのべつどう)(車の道場)と称され、「親鸞聖人背負いの阿弥陀」は本尊となりました。制作は12世紀前半頃と推定され、中道院に安置される阿弥陀如来立像とともに、鯖江市では数少ない平安後期の仏像です。
戦乱・疫病・飢饉そして死が今よりもなお身近だった時代、過酷な環境に生きた先人は、穏やかなお顔の阿弥陀仏を見つめながらどのような極楽浄土を思い浮かべていたのでしょうか。
(文化課 藤田彩)

◇平成8年度指定の市指定文化財
萬慶寺山門(楼門)(深江町)
本山誠照寺鐘楼(本町)
石造七重塔(水落町)
狛犬(鳥井町)
木造阿弥陀如来坐像(本町)
木造阿弥陀如来立像(長泉寺町)

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU