「はたちのつどい」実行委員長 田中未鈴(たなかみすず)さん(19)
県立大経済学部2年。「商業や経済の知識を生かして、将来は北陸3県のために働きたい」。幼い頃から通う文化の館が好きで、「本を読んだり勉強したりするには最高の場所です」。声優・水瀬いのりさんのファン。
《ここにある、みんなの古里》
新しく20歳を迎える若者たちが一堂に集い、1月に開催される記念式典「はたちのつどい」。一大イベントの企画・運営を担う実行委員会の委員長を務める。新型コロナウイルスによる行動制限がない4年ぶりの式典だけに、かける意気込みは特別だ。「県内に残っている人はもちろん、地元・鯖江を離れた人も『帰ってきて楽しかった』と思ってもらえる1日にしたい」
中央中学校ではバドミントンに熱中し、武生商業高校では簿記などを自主的に学ぶ「商業研究部」の活動に打ち込んだ。研究部では部長を務め、情報処理の技術を競う大会では県3位になったこともある。
しかし、大学生活ではどこか物足りなさを感じていた。レベルアップした日々の勉学はやりがいが大きく、飲食店でのアルバイトも楽しい。しかし、「熱中できる何かがほかにもあるはず」との思いが頭をよぎり、次第に膨らんだ。
かつて同じ教室で机を並べた同窓生の中には、大学進学を機に県外に行った友達もいる。そんな旧友たちのSNSをふと眺めてみる時がある。おしゃれな街並みに話題のグルメ、華やかなテーマパーク。そこは自分の知らない風景であふれていた。
都会暮らしを謳歌している友人たちがうらやましくないわけではない。しかし、くすぶるような気持ちはだんだんと別の感情へと切り替わっていった。「学生として地元に残った私だからこそできることをすればいいんだ」
はたちのつどいの実行委員募集を知ったのはそんな時だ。「これこそ今の私にできること。新しい仲間ともつながることができる」。迷うことなく申し込むと、気持ちはどんどん前向きになった。「せっかく実行委員になるなら、チームを引っ張る役になってみたい」
遠慮してしまう気持ちもあるなか、役割を決めるミーティングがある日の朝、母親の幸さんにそれとなく聞いてみた。「もし私が実行委員長になったら変かな」。母の返事は「そんなことない、絶対大丈夫よ」。その一言が背中を押した。
「委員長という大役には慣れていませんが、精一杯頑張ります」。その日の夜、メンバーたちを前に就任のあいさつをした。人柄がにじむ飾らない言葉に、メンバーたちは大きな拍手で応えた。
市内3中学校の卒業生24人でつくる実行委員会は、秋の結成以降、交流を深めながら参加者に配る記念冊子や恩師のビデオメッセージなどを作ってきた。かけがえのないメンバーたちと駆け抜けた日々は長いようで短い。晴れの舞台は間もなくだ。「ここまで来られたのも他のメンバーたちのおかげ。古里への感謝を感じられる最高の集いにするため、ラストスパートをかけたい」
全国でも珍しい「市民主役」を掲げる鯖江市。この街で暮らす『主役』の皆さんの応援歌を書きたい!そんな思いで編集担当職員が取材に伺います。自薦・他薦は問いませんので、情報をお寄せください。(※日程などの都合で取材に行けない場合もあります)
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