災害支援団体「ソナエルフクイ」代表 増田好弘(よしひろ)さん(47)
旧清水町(現福井市)出身、結婚して鯖江市上戸口町に住む。被災地への活動の様子や寄付金の振込先口座などの情報は団体のFacebookで。増田さんのInstagramでも情報発信中。
《勇気と笑顔を被災地へ》
自身が代表を務める災害支援団体「ソナエルフクイ」で、地震や豪雨の被害を受けた能登半島の被災地・石川県輪島市での支援を続ける。「自分たちにできることを少しずつ」を合言葉にしながら、ライフワークとなった支援を始めてまもなく1年だ。
兼業農家に生まれた。幼い頃から米作りを手伝い、耕運機や稲刈り機に乗った。ある時、農機具が動かなくなってしまったことがある。ところが、やってきた整備士はあっという間に直してしまった。「マジックでも使ったのか」。鮮やかな技に目を奪われ、農業に携わる道を志した。
農業高校を出てそのまま農業機械メーカーに就職、農機具の整備に携わった。「季節によって使う農機具は変わる。四季を肌で感じることができるのがこの仕事の魅力ですね」。天職ともいえる仕事に情熱を傾け続け、現在に至る。
一方で、転機もあった。2018年の大雪だ。福井市での積雪量は戦後3番目を記録。交通も生活もまひした福井県のために何かしたいと、除雪ボランティアが県外からもやってきた。そんなボランティアの一人が、勤務先に除雪機の修理を依頼してきた。加えて「除雪を手伝ってほしい」とも言う。そこで、休日に避難所や高齢者宅の除雪をした。家から出られず孤立状態になっていた女性は感謝の涙を浮かべ、おにぎりとみそ汁をふるまってくれた。
僕たちにもできることがあるんだ――。そんな思いを同じくした仲間たちと同年7月、「ソナエルフクイ」を立ち上げた。これまで県内外での除雪作業など小さな活動を地道に続けてきた。
ただ、今年1月に起きた能登半島地震は次元が違う。最大震度7を記録した被災地での活動には命の危険も伴う。だから、現地にいる旧知のボランティア仲間から「重機の調子が悪いのでなんとかしてもらえないか」と連絡があったときは迷いもあった。しかし、「何かできることがある」と1月19日、石川県輪島市に向かった。以降、仲間たちと毎週のように被災地に通い、地元の社会福祉協議会などとも連携しながら重機・工具の修理やブロック塀の解体などさまざまな活動に携わってきた。崩れた神社から夏祭りに欠かせないみこしを運び出したり、倒壊した司法書士事務所から土地の登記に関する大量の書類を運び出したりしたこともある。「建物がミシミシときしむ音が怖かったが、万が一のための退避ルートを確保しながらの作業だった」と当時を振り返る。
簡単な作業は一つもないが、現地の人たちと話すときは笑顔を絶やさない。「心が傷ついた被災者の方々に元気になってもらうためには僕たちが笑顔じゃないと」。そう微笑みながら、復旧の最中にある被災地を見つめる。
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