鯖江人形浄瑠璃「近松座」メンバー
松本実夕(みゆ)さん(18)陽菜(ひな)さん(16)
姉妹で鯖江高校に通う。実夕さんは「近松座の活動を続けたい」と、今春から県内の大学進学を選んだ。「公演前は1~2時間かけて衣装をアイロンします」。陽菜さんはパン作りも得意で、目標は管理栄養士。
《伝統芸能に活気と新味》
人形浄瑠璃や歌舞伎で多くの名作を残した文豪・近松門左衛門(1653~1725)。近松が生まれ育ったまちさばえで、人形浄瑠璃の魅力を発信しているグループ「鯖江人形浄瑠璃『近松座』」のメンバーだ。「伝統に携わることができるのは大きなやりがい。子どもたちにも興味を持ってもらうための工夫も実践しています」
人形浄瑠璃に興味を持ったのは実夕さんが小学4年生の頃。通っていた小学校での出前授業で興味を持ったことがきっかけで、古典芸能に親しむ地元の「たちまち子ども文楽クラブ」につながった。最初の見学について行って以降、陽菜さんも一緒だ。
人形を動かしてみる時間で足を自由に動かすと、先生に褒められた。「元気に動かすから、迫力があってとってもいいよ」。その一言がうれしかった。同時に、伝統芸能が一気に身近で親しみのある存在になった。気が付けば、人形浄瑠璃の活動にのめり込んでいた。
その活躍が近松座の座長・大橋國利(くにとし)さんの目に留まったことから、2人が中学生の時に近松座に加入。以降、県内外での公演や小中学校での体験講座などに取り組んでいる。
人形浄瑠璃(文楽)は、歌舞伎や能と並んで日本の3大古典芸能の一つに数えられている。太夫(たゆう)(語り手)、三味線、人形が一体となった総合芸術だ。
実夕さんは人形遣いを、陽菜さんは三味線をそれぞれ担当している。実夕さんは中学3年の時に人形浄瑠璃の継承を誓う作文で県知事賞を受賞したこともある。その情熱は誰にも負けない。一方の陽菜さんはピアノやギター、ウクレレなども弾きこなすミュージシャン。近松座に入って始めた三味線も持前のセンスで技術を磨いている。「公演を見た県外の人から『三味線を初めて1年目とは思えないほどの腕前。格好良かった』と言ってもらえたのがうれしい」
現在は子ども文楽クラブに教えに行くこともある2人。流行歌に合わせて人形を動かしてもらう体験も始めたのは2人のアイデアだ。「流行りの歌から入ることで人形に興味が湧き、本物の浄瑠璃が好きになる子もいるんですよ」と実夕さん。陽菜さんも「私たちの世代にもっと興味を持ってもらい、活動を盛り上げたい」と、さらなる奮闘を誓う。
全国でも珍しい「市民主役」を掲げる鯖江市。この街で暮らす『主役』の皆さんの応援歌を書きたい!そんな思いで編集担当職員が取材に伺います。自薦・他薦は問いませんので、情報をお寄せください。(※日程などの都合で取材に行けない場合もあります)
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