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鯖江でがんばる あの人の笑顔と素顔 vol.14

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福井県鯖江市

(一社)福井県眼鏡協会 会長 佐々木英二(えいじ)さん(57)
父星徳(あきのり)さんを継いで2007年、(株)エクセル眼鏡社長に。趣味はゴルフ。「仕事は体力勝負」と週に1回ジムに通い、トレーニングに励む。神奈川大卒、1男1女の父。

《鯖江ブランド、世界へはばたけ》
今年6月、眼鏡業界の活性化を担う県眼鏡協会の新しい会長に就いた。自身も父の眼鏡会社を継ぐ2代目の社長とあって、産地の発展にかける情熱は人一倍強い。「鯖江産の眼鏡はデザイン・品質・耐久性のどれをとっても高品質。メイドインジャパンの良さをもっと世界にPRしていきたい」
幼いころに見ていた眼鏡の記憶は半世紀たった今も鮮明だ。自宅から50mほどのところに父が構えたプレハブの眼鏡工場。両親はここで、十数人の職人たちとともに毎日朝から晩まで、眼鏡づくりに勤しんだ。
母てる子さんは3兄妹のために夕飯を作ってから工場に戻り、寝かしつけが終わるとまた仕事に行った。「本当に小さい時などは、僕たちを寝かした部屋の扉を五寸釘で打ち付けて仕事に戻っていました。僕たちが出歩かないようにとの防犯のためですが、それほど必死に毎日働いていたんですね」
学校帰りにはよく工場に行った。プラスチック製の眼鏡フレームを作る際に余る「端材」で遊んでいると、仕事場の職人たちは「英ちゃん」と呼んでかわいがってくれた。
飾らない職人たちのからりとした笑い声。寡黙な父が眼鏡に向ける真剣なまなざし。部品を作るプレス機の小気味よい音――。眼鏡が生み出される日常の風景が、幼いまぶたに焼き付いた。
ただ、兄もいたことから、家業は任せるつもりで自らは県外の高校、大学に進学。そのまま首都圏で就職した。
東京・六本木のデザイン会社に入って1年半がたった時だった。父から「お前に会社を継いでほしい」と電話がかかってきた。思いがけない言葉に戸惑った。田舎に戻る抵抗感もある。仕事だってようやく板についてきたところだ。「考えさせてほしい」とだけ返して電話を切った。
どう身を処するべきか。考えを巡らせるなかで、古里の原風景が胸に浮かんだ。毎日ひたむきに眼鏡を作り続けた両親や職人たち。彼らが心血を注いで守ったものは何だったのか。1か月に及ぶ逡巡を経て、鯖江に戻った。
プレハブ工場はすでに大型の工場に代わり、従業員も増えていた。しかし、「注文されたものを作るだけ」ではいけないと、デザイン室を新設。前職の経験も活かし、眼鏡の企画や営業にも力を入れる新たなスタイルを取り入れた。
積極的で実直。粘り強く、社交的。そんな人柄が業界の先輩たちの目にも留まった。「眼鏡協会を引っ張ってほしい」と背中を押されて協会の活動にも加わるようになり、現在に至る。
高齢化や後継者育成といった業界の課題を踏まえながら、「産地の生産性を高めていきたい」と視線は前向きだ。
また、国によって原産地表示のルールが違うため、国内(鯖江)の工程を含めて他国での工程を経たものも「日本産」として流通している実態があるという。このため、「純粋に鯖江で作られた本当のメイドインジャパンの眼鏡を差別化する仕組みづくりを進めたい」と強調。「自分ができることに精一杯取り組み、鯖江の価値を世界に広げていきたい」と意欲をみせる。

全国でも珍しい「市民主役」を掲げる鯖江市。この街で暮らす『主役』の皆さんの応援歌を書きたい!そんな思いで編集担当職員が取材に伺います。自薦・他薦は問いませんので、情報をお寄せください。(※日程などの都合で取材に行けない場合もあります)
秘書広聴課
【電話】53-2203
【E-mail】SC-HishoKocho@city.sabae.lg.jp

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