交通安全の紙芝居を園児たちに披露 宇野伽乃音(かのん)さん(15)
鯖江市在住。県立高志中学校3年生。将来の目標は医師。カナダへの短期留学中(中学2年時)にプレーしたことでサッカー好きになり、クラブに通う。息抜きは家でのアニメ。
《あなたの「相棒」チャイルドシート》
チャイルドシートの大切さを子どもたちに伝えるオリジナルの紙芝居をつくり、10月29日に市内のこども園で披露した。きっかけは中学校の探究活動だが、専門家に取材したり、独自のアンケート調査をしたりして、現状や課題を洗い出したうえでの力作だ。「チャイルドシートで助かる命があることを伝えるため、高校に進んでも自分ができる取り組みを続けたい」
子どもが犠牲になる事故は全国で後を絶たない。そうした報道がなされるたび、食卓を囲む家族の話題はそのニュースになった。警察官だった祖父は交通事故の痛ましさを身をもって実感している。決して多くは語らない。しかし、その言葉の端々からは死亡事故ゼロへの願いを強く感じてきた。
そんな土台もあって、深掘りするテーマを自分で決める中学校の探究活動では「どうすればチャイルドシートの使用率を高められるか」に着目した。祖父も「改善していかないといけない課題なので、できることがあれば手伝う」と背中を押してくれた。
最初は子ども向けの絵本を作る構想だったが、大きくて子どもも見やすい紙芝居を作ることに変更。使用率に関する基礎データを集めたり、市内の小児科に依頼して保護者向けのアンケート調査をしたりして、学びを深めてきた。子どもへの効果的な発信の仕方を学ぼうと、県内の短大に幼児教育の専門家を訪ねたこともある。「小さい子どもが理解できる文量や話し方などが分かり、製作活動に弾みがついた」
そうして出来上がったのが紙芝居「ぼくのあいぼう」だ。主人公は人形を大切にしている男の子。家族でのドライブ中に起こった事故の弾みで飛ばされて人形は壊れてしまったものの、チャイルドシートをしていた主人公は無事だったという内容である。A3サイズの紙に柔らかいタッチのイラストを散りばめた。「短い話ながらもストーリー性があり、チャイルドシートの役割が分かる」と胸を張る自信作だ。子ども向けの交通安全教室もしている鯖江警察署や市の指導員の助言も得ながらさらに練り上げ、自身が育った「認定こども園しんよこえ」でのお披露目に臨んだ。
「相棒っていうのは一緒に何かをする大切な友達のことです。さぁ、この男の子にはどんな相棒がいるんでしょうか」。園児との掛け合いも交えながら紙芝居を読む声に力を込める。その声色に引き込まれるように、子どもたちは最後まで真剣なまなざしを向けてくれた。「やるからには自分ができる最善のことをしようと思ってきたので、子どもたちの元気な反応がうれしかった」。発表を終えると、紙芝居披露の場を作ってくれた園や関係者にも感謝を伝えた。その上で、「一連の結果は学校内での論文にまとめるが、高校に進んでも同じテーマで探究を続けたい」と意気込んだ。
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