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ふるさと散歩道

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福井県鯖江市

■第362回 文化財編(39) けやけき吐酔が眺めた長寿の木
立派なものでは耐用年数が800年以上にもなる強靭な建材ケヤキ。名の由来は「けやけき木」で、優れたことを表す古語「けやけし」が、扇状に枝が繁茂する美しい樹形と鮮やかな木目が特徴的な強木(つよき)を称えます。また、ケヤキの古名「槻(つき)」は強木から転じ、同音に良いめぐり合わせを意味する「付き」があることから花言葉には「幸運」、さらに1000年生きるという生命力に由来して「長寿」「健康」が当てられています。
鞍谷川東岸の満願寺には目通り550cm、樹齢250年以上と推定されるケヤキがあります。安政2年(1855)、この寺に生まれた今立吐酔(いまだてとすい)は、福井藩が招いた御雇外国人のウィリアム・グリフィスに学び、師が大学南校(東京大学の前身)に移ると、その後を追って上京し、勉学に励みました。さらに明治7年(1874)には西本願寺の海外留学生の一人に選ばれ、帰国後は京都府中学校・神戸商業学校・滋賀県商業学校などで近代日本の学問振興に尽力しました。
凍れる冬に葉を落としていたケヤキは、春が訪れると柔らかな淡い緑の葉を芽吹かせます。吐酔も眺めたであろうケヤキは、数百年後も川風に豊かな枝葉を揺らしていることでしょう。
(文化課 藤田彩)

◇平成24年度指定の市指定文化財(3)
白山神社の社叢(水落町)
満願寺の欅(松成町)

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