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自治体の皆さまへ

ようこそ算額(さんがく)の世界へ(2)

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福井県鯖江市

■追いかける、先人の知恵と探究心
算額から見える、この地で暮らした人たちの遊び心や探究心――。そんな先人たちの知的好奇心を、私たちもきっと受け継いでいるのではないでしょうか。ここでは、理数系の分野で今年度活躍を見せた皆さんを紹介します。

◇数学の魅力を広めたい
「算額のおもしろさを調べることで数学好きの人を増やしたい」。
そんなテーマのもとで活動を進めているのが、鯖江高校探究科2年の清水天翔(てんしょう)さん、藤田悠生(ゆうせい)さん、森沢良弥(りょうや)さんです。
数学が大好きという3人は、一つのテーマを深掘りする学校の探究活動でも算額に注目。これまでに、風間寛司准教授と一緒に市内の神社を訪れて算額を計測したり、市民向けの企画「サバコーカフェ」で算額にヒントを得た問題の解説ブースを出すなどしてきました。修学旅行先のシンガポール国立大学で和算や算額の魅力を英語で発表したこともあります。
「レベルの高い問題を昔の人が解いていたなんて驚き」と清水さん。藤田さんは「実物の大きさにも圧倒された」と話します。算額を調査するなかで数学熱が高まった3人は今年度の「理数グランプリ」(県教委主催)に出場し、数学部門で3位にあたる奨励賞を受賞しました。
今後は丹南エリアに多く算額が残っている理由などもより詳しく調べる予定だといい、森沢さんは「算額のように後世に残るような活躍を僕たちもしたい」と話しています。

◇先祖に和算家!?信じられない
磯部町 金粕五右エ門(ごえもん)(正)さん

私の5代前の久美とその息子の保美が和算家で、久美の門人たちが神社に算額を奉納していたと聞いています(名前の読みはともに不明)。
福井藩士の和算家に学んだようですが、山を超えて教えを乞いに行ったと思うと敬服です。田畑が広がるこの土地にあって、門人が7人いたのも驚き。数学好きの人がそれほど多かったのかと感心させられます。
和算(数学)に目覚めたきっかけは分かりませんが、村役などをしていて、田畑の面積などの測量に役立つとの思いからだったのでしょうか。

◇算額は地域の文化力の象徴
福井大学准教授 風間寛司さん

鯖江は算額を大切に守り継いでいる素晴らしい地域です。算額は研究の発表とも考えられることから、新たな問題をつくり出すために、研究を通じて深い思考力を身に付けていったと考えられます。また、問題や絵を通して地域の行事の様子を知ることができる貴重な史料です。さまざまな魅力が詰まった算額を多くの人に知っていただくため、公開講座の実施や研究を続けていきたいと思います。

◇6年生に交じり堂々の銅 科学への志でさらに上を
ふくい理数グランプリ小学生の部 理科 銅賞
鯖江東小学校5年 「BandB」 辻本乃彩(のあ)さん、小林利綺(としき)さん、西村紗穂(さほ)さん

チーム名の「BandB」は(西村さんが好きな)バナナと、(小林さんが生まれた)滋賀県の琵琶湖の頭文字を取ったものです。普段から仲が良いこの3人でチームを組みました。
週1回、放課後に過去問に挑戦したり、クラスのみんなと一緒に似たような課題に取り組んだりして、考える力やプレゼン力を磨いてきたので、自信を持って本番に臨めました。
当日は、決められた枚数の紙で作った家に重りをどれだけ載せられるかと、その後のプレゼンテーションが審査されました。
柱の形や間隔、重りを載せる位置などの工夫を重ねました。また、プレゼン力も高く評価され、6年生の出場者が多いなかで銅賞に輝きました。一緒に高め合ったクラスのみんなや担任の先生のお陰です。
来年はライバル校に勝って1位になってみせます。将来は科学の力を生かして、寒いこの福井の地にバナナの農園を作るのが3人の夢です。

◇日常にある「どうして?」 実験を通じとことん追究
第68回日本学生科学賞 知事賞
中央中学校3年 清水誠仁(なるひと)さん、尾滝悠葵(ゆうき)さん、中田京佑(きょうすけ)さん

研究のテーマは「自転車の鍵はなぜ鞄の下から発見されるのか?」です。自転車通学をしている僕が鍵を無くし、いろいろ探し回った末にかばんの中身を全部出してみたら、その下から見つかりました。これが研究のきっかけです。(中田さん)
実験では、発泡スチロール製の軽い球を入れたペットボトルを使いました。そこに、ビー玉や鉄球などを入れて振り、下に沈む様子などをグラフにまとめたのです。小袋入りのお菓子から着想を得て、空間内のすき間がどれくらいあるかも関係しているのではないかと思い、条件を変えながら実験しました。その結果、かばんの中では密度の高い金属製の鍵が下へと潜り込んでしまうことなどが分かったのです。(尾滝さん)
僕は実験道具の製作や記録などを担当しました。僕たちが所属する科学部の先生から受賞の知らせを聞いた時はうれしかったです。これからも、不思議に思ったことはとことん調べたいと思います。(清水さん)

◇珠算1級満点の快挙 目指すは暗算10段
全国そろばんコンクール鯖江大会 個人部門最高得点
藤島高校1年 瀬戸瑞恵(みずえ)さん

小学校に入る前くらいから、地元のそろばん教室「鯖江珠算学園」に通うようになりました。小さい頃は級が上がっていくことへの達成感があったことに加えて、計算が早くできるようになることにも楽しみを感じていました。
小学校低学年の時に鯖江の大会で初めて優勝したことをよく覚えていて、そこから、私が見たことがないトロフィーや盾を手にしたいというモチベーションも抱くようになりました。
そろばんはとても大好きで、特に玉をはじいたり、玉同士がぶつかる音が好きです。聞いているとテンションが上がります。高校では琴を弾く部活もしていますが、そろばんも続けています。今は珠算9段ですが、満点合格を狙うために2023年、珠算1級を受け直して満点を取りました。現在の目標は暗算10段です。
得意の計算を生かして、将来は税理士のような数字を扱う仕事に就きたいと考えています。

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