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自治体の皆さまへ

シリーズ 今、気づき、じんけん 共に生きる【32】

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福岡県久留米市 クリエイティブ・コモンズ

■隠さなくていい。みんなで見守ろう
認知症高齢者は令和7年には、全国で700万人を超えると言われています。「認知症サポーター養成講座」の講師であるキャラバン・メイトとして、認知症への理解を深める活動をする堀江桃子さんに話を聞きました。

◇認知症だから分からないだろう
私が介護や認知症に関わるようになったのは約30年前、夫の祖父母の介護がきっかけです。その頃の介護施設は、おむつを勝手に脱がないようにつなぎ服を着せたり、立ち上がらないよう車椅子に拘束したりしていました。当時はそんな介護ばかり。今では考えられないことです。認知症高齢者には人権も尊厳もありませんでしたね。「認知症だから、何も分からないだろう」という考えが当たり前でした。私は疑問を感じ、介護や認知症について学び始めました。

◇いつまでも大切な「役割」
介護事業所を運営しながら、平成21年からキャラバン・メイトとして活動していますが、今でも学びの連続です。私の祖母も認知症になり、祖母は「トイレも自分でしきらんくなって、何の役にも立たん。生きとる意味がなか」と言うのです。心身ともに弱り、介護施設に入りました。そこで洗濯物たたみや野菜の皮むきなどの役割を果たすうちにみるみる元気になって、歩けるまでになりました。数年前に93歳で亡くなるまで「忙しかー」とうれしそうに言っていました。認知症になっても役割を持つことは大切だと、改めて気づかされました。

◇正しい知識を持って見守る
認知症のことを知る人が少しずつ増えていますが、偏見も多いです。近所に知られないよう施設名が入っていない車で送迎してと言われたり、認知症の家族がいるからとお見合いを断られたりした人もいます。認知症は誰でもなりうる脳の病気。決して恥ずかしいものではありません。隠さなくていい。正しい知識を持ち、認知症高齢者を見守ってほしい。認知症サポーター養成講座は学校や会社、地域で開催されています。まずは認知症を「知る」ところから始めましょう。「隣のおばあちゃん、認知症なんだって。会ったらちょっと声をかけよう」とみんなで言い合える社会を作っていきたいですね。

◎堀江桃子さん
久留米市キャラバン・メイトとして活動。年間70回以上認知症サポーター養成講座の講師を務める。認知症ケアをする介護事業所も運営

問い合わせ先:長寿支援課
【電話】0942-30-9038
【FAX】0942-36-6845

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