■日本とドニの関係性をたどる展示
11月2日(土)から久留米市美術館で「日本が見たドニ―ドニの見た日本」が開催されます。若い頃から日本美術に関心を持っていたフランスの画家モーリス・ドニ。約130点の作品と関連資料の展示で、ドニと日本の半世紀に及ぶ関係をたどります。
◆ドニと日本のつながり
ドニは、19世紀末のフランスで20世紀美術への橋渡し役になった前衛グループ「ナビ派」の中心的存在でした。ナビ派は西洋で日本趣味「ジャポニスム」が流行する中で結成。ドニ自身も、日本美術を意識した作品を制作し、渡仏した日本人画学生の教育にも熱心に取り組みました。
◆3章で見る日本との交わり
本展はドニの生涯を3章に分け、日本美術と対比させながら紹介します。
◇「ジャポニスムの申し子―『ナビ派』の誕生に居合わせた日本人」
ジャポニスムの中で結成したナビ派の作品や、同時代のパリでドニのデビューを目撃した画学生・黒田清輝らの作品を紹介します。
◇「アカデミー・ランソン―パリの画学生~明治・大正・昭和」
1890年代に活動を終えたとされる「ナビ派」の絆は強く、解散後も共同作業は続けられていました。その最たるものが1908年に開校したアカデミー・ランソン。日本人留学生も通い、ドニから直接指導を受けました。ナビ派とのつながりを感じられる大正期の日本美術を紹介します。
◇「宗教芸術家として―そして彼の絵は海を渡る」
第1次世界大戦後、ドニは宗教画の復興を目指し、壁画装飾にも精力的に取り組みました。「ベンガル虎バッカス祭」もその一つで、1920年の作品です。この壁画と同じ構図の絵画も制作。現在、壁画は新潟、絵画は東京のアーティゾン美術館が所蔵しており、ともに日本に渡っています。
今回の展示では、大小2枚の「バッカス祭」が100年越しに再会。壁画は1980年代に当時の所有者により切断されました。絵画と比べることで全体の構図を知ることができます。
会期:11月2日(土)から来年1月13日(祝)までの10時から17時。入館は16時30分まで。月曜日、年末年始(12月29日(日)~1月2日(木))は休館。11月4日(休)、1月13日(祝)は開館します。12月10日(火)から展示の一部を入れ替え
特別助成:石橋財団
入館料:一般1,200円、65歳以上900円、大学生600円、高校生以下無料。前売り券900円。チケットぴあ、ローソンなどで販売。11月19日(火)は無料入館日
《プレママandキッズデー》
日時:12月23日(月) 10時~15時
妊娠中の人や、未就学児を同伴する保護者1人の観覧料が無料。妊娠中の人は母子手帳が必要
◎モーリス・ドニ(1870年―1943年)
フランスの画家、著述家。1890年にデビューを果たす。「ナビ派」の中心人物として、絵画だけでなく、建築や演劇、文学、音楽などと結びつくような創作活動に取り組んだ
■関連イベント
◇講演会
モーリス・ドニと日本:黒田重太郎を中心に
日時:11月30日(土) 14時~15時30分。13時30分開場
久留米市美術館1階多目的ルーム
定員:50人・当日先着順
講師:稲賀繁美教授(京都精華大学)
料金:無料
そのほか、講座や映画鑑賞会なども予定。詳しくはホームページを確認してください
問合せ:久留米市美術館
【電話】0942-39-1131
【FAX】0942-39-3134
<この記事についてアンケートにご協力ください。>