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若い世代が地域コミュニティの活性化に取り組んでいる事例を紹介します
若い世代は地域に興味がないと思われがちですが、ネット社会が当たり前の若者にとっては、地域とのリアルな交流が新鮮。これまでの慣習を大切にしすぎるあまり、若い世代が関わりづらくなっているかもしれません。世代を超えて交流し、共に考えることが地域コミュニティの活性化につながります。
■久工大生がコミセンを設計
久留米工業大学建築・設備工学科で「地域課題を踏まえたコミュニティセンターのデザイン設計」の授業がありました。コミュニティセンター上津校区会館の建て替えをテーマに、若い感性で新たな提案が生まれています。(以下、コミュニティセンターは「コミセン」と表記)
昨年6月、大学生や教員約80人が上津コミセンを訪れ、事務局長から校区の現状や課題について学びました。学生は建物の老朽化や地域の課題、利便性を考えて新しいコミセンを設計し、学内コンペに出展。館内にらせん状のスロープを巡らせたバリアフリー型や、自然を取り入れたテラス型など80点の作品が発表されました。最優秀賞は、2階に事務所があり、災害時も使えるコミセンを設計した小林桜さん(久工大2年)が受賞。
■寄りたくなるコミセンに
入賞した井下佳那さん(久工大2年)は、学校や仕事帰りに誰もが寄りたくなるコミセンをイメージして設計。「近くにコミセンがあっても、入っていい場所なのかが分かりませんでした。外から館内の様子が見えたら入りやすいだろうと、窓やガラス張りを多めに。小さい頃の子ども会の思い出や、祖母が段差に困る姿を思い出しながら、開放感と安全性に配慮しました。人と関わることが好きなので、地域を幸せにできるのはうれしいです」と思いを語りました。
同大の成田聖准教授は「学生が公共施設の在り方を考える良い機会になりました。今後も地域と学生の関わりができたら」と展望を語りました。
学生が設計したデザインは、本庁舎2階ホワイエで3月8日(土)から21日(金)まで展示します。
■はっとさせられるアイデア
上津校区まちづくり振興会の大坪平会長は「最初はどんな提案が来るのか、正直不安だったんです。でも、皆さん真剣に考えてくれて今までにないアイデアにはっとさせられました。若い世代と関わるきっかけひとつで、思わぬ発展がありますね。アイデアを参考に、明るく、ふらっと寄れるコミセンにしたいです」と笑顔を見せました。
■南筑高生と校区防災訓練
南筑高の「地域協創クラス」の生徒は、企業や市役所を訪れて地域の課題に向き合っています。
12月、西国分校区まちづくり委員会で実習中の6人は、ゲームを通じて避難所運営を体験しました。カードをめくると、避難者や支援物資の情報が次々と明らかに。「子連れの人は遊べる場所の近くに案内して、高校生が遊び相手になろう」「高齢者はトイレに近い所がいいかな」と話しながら、瞬時に判断していきました。今は、2月の校区防災訓練への参加者を増やす方法を考えています。
■顔なじみという価値
参加した古瀬湧人さん(南筑高2年)は、「子どもや高齢者、外国人などさまざまな人が避難するので、プライバシーへの配慮が必要だと感じました。避難者を集落ごとに案内してはどうかという、思いがけない意見にびっくり。顔なじみだからこそ、互いの事情が分かって協力できるんですね。私たちも本気で訓練に関わっていきたいです」と話しました。
■若い人の意見で活気づく
同委員会の坂井政樹会長は、「地域コミュニティの再生には、若い人たちの意見を聞くことが大切。学生らの関わりで、いつもの運営メンバーが活気づきます。若い人たちには、どんどん新しい声を届けてほしいです」と期待を寄せました。
実習後、生徒に感想を聞くと「大人も子どもも一緒の視点で話し合えた」「地域の人とリアルに話せたのが楽しかった」と目を輝かせました。
いろいろな世代が向き合い、認め合うことが、地域活性化のきっかけになるかもしれません。
◎古瀬さん
大人と共通の話で盛り上がるのが一番楽しかったです
◎坂井会長
初めて高校生の実習を受け入れて、私も刺激を受けました
問い合わせ先:地域コミュニティ課
【電話】0942-30-9014
【FAX】0942-30-9706
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