安部龍太郎(本名:良法)は、18歳のころ「高度経済成長に向かって突き進む1970年代の日本の価値観になじめずに人生に行き詰まった」といいます。そんな危機的な状況で出合ったのが戦後無頼派の作家たちです。特に、戦後間もない時期に刊行された坂口安吾の『堕落論』に感銘をうけ「文学で人を救えるならば」と作家になることを強く決心したのが19歳の春でした。
本展では、安部の幼少期から作家デビュー前までのエピソードを写真を交えながら紹介します。そして、1988年に執筆した『師直の恋』で始まる作家生活。「現代小説家」から「歴史(時代)小説家」への転機等を著作本とともに紹介します。また、直木賞受賞作『等伯』(2012年)については、生原稿をはじめ、執筆にあたっての資料などを公開します。
民衆に根差した歴史観から世界の中の日本を捉えなおす「作家 安部龍太郎」の世界をご堪能いただけたら幸いです。
期日:10月26日(土)~12月15日(日)
会場:八女市田崎廣助美術館
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)
入館料:無料
《安部龍太郎(1955年~)》
福岡県八女郡黒木町(現八女市黒木町)生まれ。国立久留米工業高等専門学校機械工学科卒。東京都大田区役所入庁後に図書館司書を務める。その間に数々の新人賞に応募し、平成2(1990)年『血の日本史』で単行本デビュー。平成6(1994)年『彷徨える帝』で第111回直木賞候補、平成17(2005)年『天馬、翔ける』で第11回中山義秀文学賞受賞。平成25(2013)年『等伯』で第148回直木賞受賞のほか受賞歴多数。代表作に『関ケ原連判状』『生きて候』『維新の肖像』『姫神』『家康』『ふりさけ見れば』などがある。骨格の確かな作風と、日本史の根幹にかかわる大きなテーマに果敢に挑み、現在、自身の作家活動に加え舞台劇の監修や講演活動を精力的に行うなど、幅広く活躍の場を広げている。
問い合わせ:同館
【電話】24・8304
※展示替のため、10月7日(月)~10月25日(金)は休館いたします。
※本展に関する情報に変更がありました場合は、当館ホームページによりお知らせいたします。
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