■言葉や文化の違いを認め合い、誰もが生きやすい社会になるために
日本では外国からの観光客以外にも地域で暮らす外国人が増えてきました。八女市でも令和6(2024)年8月末現在886人の外国人が暮らしており、私たちの生活の中でも身近な存在になっています。日本で暮らす外国人にとって日本語の習得は安心して暮らしていくために必要不可欠です。
現在外国にルーツを持つ子どもたちが市内7校の小中学校で日本語指導を受けています。子どもたちが在籍する学校を巡回指導されている黒木小学校の日本語指導教員川口輝司子先生にお話を伺いました。
▽具体的な仕事内容
日本語がまだ十分に習得できていない子どもたちに対して、生活面の適応や人間関係をよくするための日本語力「生活言語能力」、例えば「いい・だめ」「トイレに行きたい」など日常の生活で必要なこと。もう一つは国語や算数など教科の学習で必要な「学習言語能力」で、自分の学年の学習に参加できるようになるための学習指導を時間割を決めて各学校を巡回指導しています。個別に一人一人対面でする指導と、在籍学級の中に入り必要なことを支援する入り込み指導があります。理解が難しいときは翻訳アプリを使って母語とあわせて理解を深めています。
▽子どもたちの学校での生活
日本語が全くできずに小学校に入学した子どもは、初めての生活に不安や恐れなど大きなストレスを感じています。そのため落ち着きがない行動をとったり泣いたりすることがあります。日本語を理解できていない子どもが在籍する教室には教育委員会より翻訳機器を貸与し、友だちとのコミュニケーションを取りやすくしています。教員や友だちの言葉の意味が理解できるようになると、笑顔が増え学校生活も楽しくなり、日々の学習や学校行事にも積極的に参加できるようになります。在籍する学級や六年生には人権学習の中で、外見や言葉、文化も違う子どもたちのことを理解してもらえるように話をしています。
▽周りの人に理解してほしいこと
子どもたちの多くは親の仕事の都合で日本に来ている場合があり、異国での生活に慣れずパニックを起こすこともあります。周りに理解を得られないような行動も日本の文化や社会のルールを知らないことが原因の場合があります。その言動だけで「○○人は~」という見方をするのではなく一人の個人として見ること。子どもたちの母国や母語にも誇りを持てるように、学校の職員も関心を持って接してほしいと思います。学級の子どもたちには、やさしくわかりやすい言葉、長い文章ではなく短い言葉で伝えてねと言っています。表面では笑顔で過ごしていたり、理解したと思っても、わかっていないことが多くあります。繰り返し話をし、お互いが理解しあえることで、周りとの信頼関係ができ、安心して過ごすことができる教室になると思います。
▽市民のみなさんへ
日本語指導を受けている子どもたちの保護者も日本語を学ぶ機会が少なく、日本語が十分に話せない人もいます。そのため近隣の人と会話ができず孤立する場合もあります。保護者も日常生活を送るうえで自分の思いをうまく伝えられないことで必要な支援が受けられなかったり、制度があることを知らないという場合もあります。地域でも、慣れない日本での生活に戸惑っている外国人に「困っていることはありませんか?」と温かく関わってほしいです。
日本の文化を諸外国の人に知ってもらうことも大切ですが、私たちがさまざまな国について知ることも大切です。お互いの習慣や文化・宗教の違いなどを受け入れる柔軟性が必要です。
地域で暮らす外国人に、災害時の避難やごみ出しのルールなど生活に必要な情報などをやさしい日本語や身振り手振りで積極的に話しかけ交流することで、お互いを理解しあい、誰もが暮らしやすい地域社会にしていきましょう。
問い合わせ:人権・同和政策・男女共同参画推進課
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