◆青木野枝《蒸気管/門司-戸畑》
(2010/2017年改変、鉄 北九州市立美術館蔵)
小さな丸いオブジェが連なり大きな円へとつながっています。泡が空中を浮遊していくように、全体として軽やかで柔らかな印象ですが、重く硬さのある鉄の彫刻です。本作は、「街じゅうアートin北九州2010」開催において、北九州の地元企業と協働して制作されました。門司赤煉瓦プレイス内のかつて鉄骨の煮沸窯があった屋内の無機質な場所に設置されていましたが、画像は、2017年の当館リニューアルを機に、戸畑で再制作された現在の姿です。
青木野枝の作品は、従来の鉄の彫刻の概念を覆し、設置された場に新たな視点や空間認識の広がりを生じさせることを意識して制作されています。門司と戸畑、異なる場に合わせてその姿を変化させてきた本作。窓の外に森が見え、明るく広々とした空間で、その生い立ちに思いをはせると、新たな発見があるかもしれません。
学芸員 河村朱音
市の担当課:美術館
【電話】093-882-7777
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