◆本当に大切なものは目に見えないんだよ
「L’essentiel est invisible pour les yeux.」
*「星の王子様」サン=テグジュペリ作より
加藤 典子さん
NPO法人子どもパートナーズHUGっこ(理事)・星の子文庫(代表)・こが語りの会(代表)・保護司
「死にたい」「透明人間になりたい」と口にする子ども。まだ小学校低学年なのに、とショックは大きかった。
小・中学校図書館の司書をしていた頃、子どもの背景に社会や家庭の厳しい事情が存在することを目の当たりにした。夢いっぱいなはずの胸は絶望で押しつぶされそうになっていた。
「大人はどうして嘘をつくの?」傷ついた心に応えられない自分がいた。図書館の中にいては救えないことを知った。
*子どもたちの辛い状況を憂(うれ)いてもそれは主観的視点ではないのか。「救いたい」気持ちを行動に移すための模索は、傲慢【ごうまん)で一人よがりではないのか?それを見極め調査で実態をつかみ、客観的に社会の課題を把握するため50代半ば大学院で児童福祉を学んだ。
ズルくて嘘つきで世間体ばかり気にする〝大人〟は信用できない。年齢を重ね鈍感な〝大人〟に近づいてしまう自分でさえ大嫌いだった時代があった。ある日、友人に誘われ参加した子ども会のイベント。見ず知らずの自分に、何も聞かず「よく来たね。楽しんでいきな」と受け入れてくれたおばちゃんに出逢った。「あなたはそのままで生きてていいんだよ」と言ってくれた気がした。〝損得に関係なく関わってくれる信頼できる大人もいる〟そう思えた出会いだった。また、思春期の辛い時期を越え生きてこられたのは、親との山登りや本を読んでくれた思い出、友達とのあたたかな記憶…「楽しいこともたくさんあったよね」幸せな思い出が、折れそうな自分を支えてくれた。
だから彼女は今日も、直に子どもたちと関わり、楽しい思い出を作り続ける。
経済的な豊かさや物質的な豊かさの中ではなく、「目には見えない」人との関係や関わりの中に〝幸せ〟はあるものだということを活動や行動を通して子どもたちに伝えたいから。その原動力は「いつまでも未熟である自覚」と「夢を持っていること」。未熟だからこそ現状に満足せず、学び、探し続ける。そして、夢(すべての子どもたちが幸せになること)がそれを応援する。
「この世の中は矛盾に満ちている。でも絶望はしないで!きっと笑える日が来るから。人生は生きるに値するものだよ。」彼女のメッセージは子どもたちの皮膚から目から耳から、間違いなく心に浸み込んでいる、小さな思い出を重ねながら。
さあ、一緒に楽しいことをしよう!ありのままのあなたと関わっていくよ。
▽12月20日「星の子文庫30thクリスマス会」を行います。インスタグラムをチェックしてくださいね。
・星の子文庫Instagram
・NPO子どもパートナーズHUGっこInstagram
※各QRコードは広報紙をご覧ください。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>