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特撮映画の黄金期を支えた男 井上 泰幸(3)

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福岡県古賀市

◆「おじさん井上泰幸」
▽登代美さんの知る井上泰幸とは
幼少期の井上は愉快でわんぱく、好奇心旺盛だったようで「お父さんは立派な方なのに恥ずかしくないか」と、人に涙を流されたとか(笑)大人になってからも、愉快な人ではありましたが、緻密で物事に手を抜かないこだわりと繊細さを併せ持っていました。
「娯楽ではなく、本物を作った。」井上のこだわりは、この言葉で窺(うかが)い知れます。実写かセットなのか区別がつかない程現物に忠実なセットを作り込みました。コンマ何秒でも嘘があれば本物ではないと言うのです。人々を驚かせ唸らせる圧巻の特撮映像は、妥協のない厳格なポリシーを貫き続けた仕事だからこそ。
「特撮美術は孤独な仕事。やればやるほど良い物になるから、徹夜で撮影のギリギリまで続けた。」一晩中作業に没頭し「さー、晩御飯を食べに行こう」とスタッフに声を掛けた時には朝になっていたということも(笑)

▽井上泰幸にとっての故郷古賀とは
古賀は、井上の原点です。古賀を話すときの井上の顔は少年そのもの。古賀に帰ると海で泳ぎ「何処に行っても、古賀ほどの海はない」と言っていました。それが故郷に込めた思いの全てだと思います。
東宝に関われた初期、片足が無いことでの就職の問題、更に付き合い始めで結婚の反対もある妻・玲子宛に手紙を書いています。
「八幡港を出て郷里の山々が水平線のかなた左に沈まんとする時、船の甲板で望みなき誓いを立てた光景が、今でもありありと浮かんで来ます。99%死を覚悟していた戦争中、残りの1%に出来ない望みをかけて、生きて帰る事が出来たら、どんなに苦しい仕事でもしますと心に誓った事があります。」
失意の底から、這い上がろうとしていた時期、奮起の誓いを決する思いが滲み出ています。井上にとって、古賀は〝励まし〟であり、〝温もりの地〟古賀への気持ちは生涯消えませんでした。

▽故郷古賀で井上泰幸のセカイ展をおこなう意味
2014年に古賀で開催した『ゴジラを支えた特撮美術監督井上泰幸展』から、10年。当時約5000人が来場し、井上の偉業を知ってくださいました。その後、日本各地で井上の展覧会が続き、2022年には東京都現代美術館で『生誕100年特撮美術監督井上泰幸展』が開催され、34000人の来場者とマスコミも大きく取り上げてくれました。
今回古賀では、岩田屋のミニチュアを展示します。特撮現場の臨場感を体感し、井上の匠の技を実感してください。
これから先も特撮を通して、古賀市民の皆さんと長く繋がっていければと切に願っています。

▽東郷 登代美(とうごう とよみ)さん
(姪・井上泰幸遺族会代表・井上泰幸アーカイブ班)

※現在の古賀海岸は遊泳禁止になっています。

◆古賀が生んだ特撮美術の匠 井上泰幸のセカイ展
≪入場無料≫
劇中でラドンが壊した岩田屋(1956年当時)の特撮用巨大ミニチュアを現代の技術で再現!井上泰幸さんが「特撮」という舞台で振るった「モノづくり」の技をぜひ間近で体験してください。
期間:9月7日(土)~10月6日(日) 10時~18時
※月曜日休館
場所:リーパス2階ギャラリー(図書館2階)

▽関連企画 ゲストトーク and 上映会
「井上泰幸と特撮ミニチュアの魅力」
日程:
・9月21日(土) 『総天然色ウルトラQ』
・9月22日(日・祝) 超レア短編怪獣映画 and メイキング上映
場所:リーパス大ホール
※上映作品は変更になる場合があります。詳細は、市公式ホームページなどでお知らせします。

『シン・ゴジラ』『シン・仮面ライダー』にも参加
特撮美術監督 三池敏夫さんがやってくる!
・三池敏夫さん
1961年生まれ、熊本県出身。株式会社特撮研究所所属。平成ガメラ3部作、ウルトラマンシリーズ、ゴジラシリーズ、『男たちの大和』『のぼうの城』など数々の作品で特撮美術を務める。

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