◆『次のステージへ』
秋音 光(あきね ひかる)さん
(元タカラジェンヌ男役 2023年6月退団)
小5で初観劇した宝塚。その後、毎年観劇を続け、「男役ってかっこいい!きらきらしたショーがすてき」と感じていたものの、自分がこの華やかな舞台に立って魅せる側になろうとは当時夢にも思わなかった。
大学受験が迫り、5歳から続けてきた大好きなバレエ*1を休み、受験モードに。しかし踊りへの思いが遠離(とおざか)ることはなかった。理系にもかかわらず志望校に加えたのは、舞踏中心のカリキュラムがある文系学科を有する大学。踊りたい、舞台芸術を学びたいという気持ちが表れた選択だった。とは言え、「宝塚」の存在は特別過ぎて非現実的。受験校として名を挙げたことはなかった。〝ずっと好きだった「宝塚」にチャレンジさえしないで大学に行くと後悔するのでは〟と慮(おもんぱか)ったのか、宝塚受験を提案してくれたのは両親だった。巷(ちまた)では、東の東大、西の宝塚と呼ばれるほどの難関校。端はなから受かるとは思っておらず「いい具合に肩の力が抜けていたのが功を奏したのかもしれません」と彼女は笑う。
「男役10年(男役が完成するまでに10年はかかる)」という宝塚用語がある。約13年間舞台に立ち、辞めるのは〝男役を全うした時〟だと決めていた。が、反省と理想の追及に終わりは見えず、〝満足〟することなど永遠にないと確信。「次のことは、辞めてから考えよう」と、身の振り方を決めずに退団したこの決断は、男役で培われたものなのか元々の性格なのか、秋音イズムを感じる潔さ。
現在は、東京・大阪・福岡と三拠点で活動中。舞台が忙しくない時は、〝バレトン**2〟のインストラクターやオリジナルレッスンを行い、さらに声を掛けてもらえれば何にでもチャレンジしていきたいと意気込む。*3
彼女の持つ「しなやかな強さと、静かに燃える炎」が、無限の可能性を押し広げる力となり、〝タカラジェンヌ秋音光〟の向こう側へと誘(いざな)う気がする。宝塚ファンに夢の世界を見せてきた彼女が、今後自分のためにどんな夢を描いていくのか。新しい秋音光が大いに楽しみだ。
*1 ユカリクラシックバレエ(花見南)で週2・3日レッスンを受けていた
*2 バレエとヨガとフィットネスを合わせた有酸素運動エクササイズ
*3 10月のワークショップ(子どもたちに振り付けして発表までするダンスレッスン)と自身の朗読とのコラボダンスも然しかり。“地上のどんな男よりかっこいいと言われる宝塚男役”だった彼女の踊りは見惚れてしまうほどセクシーでダイナミック
・古賀のイベントでのダンスリハーサル風景。会場を魅了した。
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・秋音光さん Instagram
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