■地域で支えあう地域の宝
◇時代で違う子育て事情
「近くに信頼できる方がいるということは、こんなにも安心につながるんだということを実感しています。」こう話すのは、田中静香(たなかしずか)さん。夫婦の実家の間だったことと、友人から大木町は子育てしやすい町だと教えてもらったのがきっかけで、大木町に移住されました。
「私たちが子どもを育てていた時と違って大変だと思います。そういう時代だからこそ、助けてやれることは我が家で助けてやりたいですね。」そう話す山下さん夫婦。
田中さんと山下さん。この二家族の交流は「よらんね!」の一言からはじまりました。
第一子の佑來(たすく)ちゃんが生まれ、2人で散歩を楽しんでいた田中さん。そこにかけられたのが、同じ地域に住んでいる山下さんからの「よらんね!」の声。
最初は、縁側で話をしていましたが、徐々に距離が近づき、今では山下さんの家の中で話をするようになりました。
◇交流が不安を安心に
田中さんは、「家にあがっていいよ。」の言葉に、最初は遠慮や不安があったとか。「地域の方とこれほど密接に触れ合うことができるなんてあまり想像していませんでした。全然知らない土地に来て、初めての子育てに不安がありましたが、山下さん夫婦と出会って楽しくなっていきました。山下さんに子どもの成長を一緒に喜んでもらい、何より子どもをとても可愛がってもらえることが本当にうれしかったからです。これからも年代や性別を問わずに、たくさんの人と交流しながら子育てをしていきたいです。」と話す田中さん。
今となっては、佑來(たすく)ちゃんからも、「山下さん家に行こう」と、玄関に走っていったり、山下さんの家が近づくと、家の方向を指したりと、わくわくアピールが止まりません。
◇互いを支えあう
「昔は近所の人と関わるのが当たり前の生活でした。でも今は、近所の関係が希薄になってしまいました。そんな中、子育て世代の田中さん親子が私たちを受け入れて遊びに来てくれることはとてもうれしいです。この小さなやり取りが、私たちを元気にしてくれています。」と話す山下さんの表情は、とても優しい雰囲気に包まれていました。
山下さんの家にあるおもちゃや碁石(ごいし)。それはかつて山下さんの孫が遊んでいたもの。
この交流は、山下さんにとって孫育てのころを思い出す大切な時間になり、田中さん親子は、碁石を使った昔ならではの遊びの発見など、お互いの良い刺激になっています。
■孤(こ)育て脱却!
子育て中は喜びと不安がいっぱいです。独りで悩まずいろんな人と交流することで気持ちも和らいでいきます。
そんなきっかけを見つけて地域の人と関わってみることも面白いですね。
子どもとその家族が地域コミュニティの中で安心して子育てができること、そして地域全体が子どもを見守り育んでいくことは、子育ての支援とともに子どもの虐待防止にもつながります。
■みんなで子育て
◇行政とともに
町では、子どもが18歳になるまでの相談支援の中枢機関として、「こども家庭センター」を設置しています。
子どもが生まれてすぐの不安感によって、子どもから離れたいと思う保護者は少なくありません。
こども家庭センターでは、保護者の悩みや希望などを、時間をかけて聴き、個別にメニューを組んで、一緒に子育てをする取り組みを行っています。
◇ボランティアとともに
子どもが生まれると、赤ちゃんとの試行錯誤の生活に突入します。
思い通りにならない生活が続き、心と体の余裕がなくなると、大声で怒鳴ったり、叩いたりしてしまうことがあるかもしれません。
そんな辛い時に「苦しかったね。大丈夫だよ。一緒に子育てしていこう。」と声を掛けてくれる人がいること。それは、保護者にとって大きな支えになります。
こども家庭センターでは、自らも子育てを経験してきたボランティア団体「ねんねこくらぶ」の皆さんが、子育て中の保護者と触れ合う時間を毎月1回設けています。このつながりはお互いにとって大切な時間になっています。
■子どもの人権を守る「子どもの権利条約」
子どもの権利条約は、1989年に国連で採択され、日本は1994年に批准をした、全ての子どもたちが持つ権利(人権)を定めた条約です。
子どもが幸せになるためにはどうしたらよいのかということを、世界中の人々が考えて作った大切な条約で、「子どもだからといって無視しないで。私たちの権利を守って。」という子どもから大人へのメッセージが込められています。
大人は責任を持って、子どもたちを大切に育てなければなりません。
しかし、近年、身体的虐待や心理的虐待のほか、保護の怠慢や性的虐待など、子どもを取り巻く問題が社会で深刻化しています。
令和5年の久留米児童相談所管内での児童虐待相談受付件数は、1,567件で年々増加しています。
人権週間の集いでは、地域の皆さんで子育てを支援する取組みを学びます。
■大木町人権週間の集い
日時:11月30日(土)10時~12時
場所:こっぽーっとホール(大木町総合体育館内)
内容:
・人権作文発表
各小学校代表児童による発表
・人権週間講演
テーマ「地域力があがる、こどもまんなか社会のつくり方」
講師:田原 泉(たはらいずみ)さん(NPO法人にじいろCAP理事)
入場:無料
問合せ:地域づくり課
【電話】0944-32-1047
問合せ:こども未来課
【電話】0944-32-1022
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