上牟田口地区で、毎年7月の第2日曜日に行われる祇園獅子舞(ぎおんししまい)。明治時代の中頃から始まり、2度の中断を乗り越え、百年以上にわたって継承されてきた歴史ある行事です。
■獅子舞とは
獅子舞は、正月やお祭りの時に獅子頭をかぶって舞う日本の伝統芸能です。疫病や邪気を祓(はら)う力があるとされ、日本各地で行われてきました。
■上牟田口の獅子舞の歴史
上牟田口地区では、明治時代の中頃から獅子舞が始まったそうです。戦時中の中断はありましたが、昭和40年まで継承されてきました。その後しばらく中断しますが、昭和56年に地区の若い有志により復活。それを期に上牟田口獅子舞保存会が結成され、現在まで継承されてきました。
獅子舞には、2人以上で1体の獅子を演じる二人立と、1人で1体を演じる一人立がありますが、上牟田口の獅子舞は、2人で演じる二人立です。獅子は赤と黒の2体があり、獅子役の4人に先導の露払い役1人を合わせた5人で行われます。
もともとは毎年7月14日に行われていましたが、平日の開催が難しくなり7月の第2日曜日に変わったそうです。
町の出初式でも3年に1度、芙蓉(ふよう)の舞を披露しています。このときは、大莞少年消防クラブが打ち鳴らす太鼓の音に合わせて、赤黒2頭の獅子が舞います。芙蓉の舞が次に見られるのは、令和8年1月の出初式のときです。
■行事当日の流れ
早朝、獅子役と露払い役は、花宗川で身を清めたあと、三島神社境内の早馬宮(はやまぐう)(祇園社)で、神官による祈祷(きとう)を受けます。祈祷により魂の入った獅子は、わーっと声を上げながら、神社境内と公民館を回ったあと、地区の家々を訪問します。
家に上がった獅子は、中を駆けまわったり、家の人の頭を噛(か)み、無病息災を祈願します。訪れる家は80軒ほど。回り終える頃には日が暮れているそうです。
■傷んだ獅子頭(ししがしら)をきれいに
上牟田口の獅子頭は、幅50cm、高さ30cmと一般的なものより大きく迫力がありますが、家の中でぶつけることが多く、あちこちに損傷が見られます。
今年度、獅子頭の修理が文化庁による伝統行事の補助事業に採択され、7月の獅子舞終了後に修理することになりました。
上牟田口南自治区長で保存会の会員でもある鶴岡政勝(つるおかまさかつ)さんは「獅子頭の修理には多額の費用が必要なため、今回文化庁から採択を受け、大変助かりました。獅子舞を通して地域を活性化し、地域のつながりと文化の継承に努めていきたいと思います。」と語ります。
来年は、美しくよみがえった獅子頭が、上牟田口地区を駆けまわり、地域の絆と幸運をもたらしてくれることでしょう。
〔町内の獅子舞の開催〕
町内では上牟田口のほかに、筏溝と絵下古賀でも獅子舞が行われています。筏溝では、上牟田口同様2体の獅子が地区を回ります。絵下古賀では獅子頭を公民館に設置し、参拝者の頭を噛んで無病息災を願うという形をとっています。
◆令和6年度上牟田口祇園獅子舞
日付:7月14日(日)
場所:三島神社(大字上牟田口461)および上牟田口地区各所
問合せ:地域づくり課
【電話】0944-32-1047
<この記事についてアンケートにご協力ください。>