■専門家に聞く空き家問題
福岡県司法書士会所属で、大木町空家等対策協議会の委員でもある早木信行(はやきのぶゆき)司法書士に、近年の空き家問題をお聞きしました。
Q:空き家の現状をどう感じていますか?
A:大木町は全国の空き家率から見ると低い水準ですが、年々増加し、空き家が目立つようになってきました。また、長年放置された状態でブロック塀が倒れそうになっている空き家や、建物が倒壊しそうな空き家も出てきています。(R4調査:大木町空き家率6・2%)
一方で、空き家が社会問題として、新聞やテレビで報道される機会も増え、以前よりも空き家に対する関心は高まっていると感じます。実際、相続した空き家や、自身が住まなくなった後の空き家の処分に関するご相談も増えています。
Q:空き家に対する問題点はありますか?
A:まず、登記事項上の所有者が昔のままで止まっていて、現在の所有者が反映されていないことです。相続によって不動産の名義を変更することを相続登記と言いますが、この登記も令和6年3月までは義務ではありませんでした。しかし、現在は相続発生から3年以内に相続登記をする必要があります。
2つ目に、遠方に居住している相続人が相続した場合には、頻繁に現地を確認できないので、どのくらい老朽化しているかがわかりません。
近隣住民の迷惑になっていることが認識しがたいことです。
Q:空き家を所有している、これから所有する可能性がある人へどのようなことをお願いしたいですか?
A:空き家を管理するには毎年の固定資産税の支払いのほか、雑草が繁茂した場合の草刈りや、急速な劣化を防ぐための定期的な通風などさまざまな費用と労力がかかります。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正により、固定資産税の住宅用地特例が解除される空き家の範囲が広くなりました。倒壊しそうな危険家屋(特定空家等)だけでなく、管理が適切にされておらず、そのまま放置すれば特定空家になりそうな空き家(管理不全空家等)も、住宅用地特例が解除され、土地の固定資産税は高くなります。
現在住んでいる自宅が空き家になることが確実な場合は、空き家を相続人に処分してもらうのか、ご自身で処分するのかを親族で事前に話す場を設けてください。空き家の管理コストは以前よりも高くなっているという認識のもと、売却や賃貸に出すなど、利活用の検討をお願いします。
福岡県空き家活用サポートセンター(イエカツ)が令和2年から始動していますが、こちらは福岡県が主導して空き家の問題解決に資する専門員が集まり、相談会やセミナーを開催し、所有者などに対する相談対応から、その活用・処分方法の具体的な提案、さらには専門事業者とのマッチングまでをワンストップで行っています。
福岡県司法書士会では、この相談員やセミナー講師の派遣を行っています。
■出前講座に伺います!
早木司法書士と職員が、「相続と遺言と空き家」をテーマに地域へ出向いてお話しします。
申し込みできる団体:町内に在住または働いている人で構成された5人以上の団体
開催場所:自治公民館、校区コミュニティセンター、公共施設など
申込先・問合せ:産業振興課 ブランド推進室
【電話】0944-32-8444
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