■大野城心のふるさと館のおすすめ(12)
◆全国屈指の新羅土器の出土数
◇古代の朝鮮半島と日本の関係
日本列島で古墳が盛んにつくられた3世紀から7世紀、朝鮮半島では高句麗・新羅・百済の3つの国が競い合う「三国時代」を迎えていました。このうち、日本(倭)は百済と友好関係にあり、新羅とは常に敵対し合う関係でした。
ところが、大野城市の古墳では、仮想敵国である新羅の土器がたくさん見つかっており、その数は全国屈指を誇ります。
◇新羅土器とは
新羅土器とは、現在の韓国・慶州に都が置かれた「新羅」で作られた土器のことで、土器の表面をスタンプなどを使用して装飾することが大きな特徴です。日本では、古代に都が置かれた奈良県や、壱岐・対馬をはじめとする九州北部で多く見つかっており、新羅土器の存在は日本と新羅との交流を語る資料として非常に重要といえます。
◇新羅と大野城市の関係
いったいなぜ大野城市には新羅土器がたくさんあるのでしょうか。実は、大野城市東部の乙金地区では、6・7世紀に新羅から渡ってきた渡来人が住んでいたことが分かっています。渡来人たちは地元の人々と共存しながら、地域の開発や土器づくり・鉄器づくりなどで活躍したと考えられています。彼・彼女たちが、故郷である新羅と継続的に交流・往来した結果、大野城市にたくさんの新羅土器が持ってこられた可能性があります。
大野城市で見つかった新羅土器の多くが、容器である「壺」であることから、新羅特産のお酒や高麗人参などを粉末状にした薬品を入れて持ってこられたのかもしれません。
心のふるさと館では、「発掘された日本列島」展を開催する予定で、大野城市出土の新羅土器も展示します。全国津々浦々の遺跡で出土した一級品たちを観覧できるまたとない機会です。年明けは、心のふるさと館に、ぜひ来館してください。
◆発掘された日本列島展
会期:1月5日(日)〜2月16日(日)
問い合わせ先:心のふるさと館ミュージアム担当
【電話】558-5000
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