本の紹介を通して、皆さんも特別な一冊を見つけてみませんか。
■筑紫中央高校 2年 石松桃果
『流浪の月』
凪良ゆう/著(東京創元社)
私がこの本を読み終えたとき、まだ短い人生の中で初めて読書で心が震えるという感覚を覚えました。
両親がいなくなり、伯母の家に引き取られその家の居心地の悪さから家に帰りたくなかった少女・更紗は、男子大学生・文に声をかけられ家について行きます。二人はお互いに誰にも言えないつらい秘密を持っていましたが、いつの間にかお互いが大切な存在になっていました。しかし、世間はそれを否定します。
この二人に共感することは難しいかもしれません。しかし、読み終わった時にこの二人に共感や理解は必要ないのだと気づきました。そのとき、心が芯から震えると同時に温かさを感じました。親切心から二人を引き離す必要はないのです。ただこの二人の幸せを願う。それだけでよいのだと思いました。
■筑紫中央高校 2年 宮本歩奈
『硝子の塔の殺人』
知念実希人/著(実業之日本社)
私はミステリが好きでよく読んでいるのですが、今回はその中でも特に衝撃を受けた一冊を紹介します。
この本は、硝子館に招待された主人公の一条遊馬が、妹のために殺人を犯してしまう場面から始まります。しかし、彼の目的は果たされたのにも関わらず、何者かにより殺人は続いていくのです。彼は、この事態を自分の罪をその何者かに擦り付けることができる好機だと考え、同じく招待された名探偵碧月夜と共に謎に挑んでいくというストーリーです。
この本の面白さは、著者の溢れんばかりのミステリ愛がたくさん詰まっている点です。ストーリーが繊細にコミカルに描かれているので、ミステリをよく知らない人でも楽しく読めるようになっています。ラストの大どんでん返しに貴方はきっと驚愕するはずです。
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