■女子硬式野球を牽引した2人がユニホームを脱ぐ
元女子プロ野球の中心選手であり九州ハニーズを創設した川端さんと楢岡さんが、今シーズン限りで引退しました。
2人の足跡と、大野城市を拠点に立ち上げた「九州ハニーズ」への思い、今後の活動についてインタビューしました。
(大野城市は、九州ハニーズと協定(令和4年7月)を交わし、女性活躍推進、スポーツ振興および地域活性化を図るため、相互に協力しています。)
■主な女子プロ野球時代のタイトル
◆川端友紀選手 Yuki Kawabata
◇タイトル
◉首位打者 3回(2010年、2011年、2013年)
◉最高出塁率 3回(2011年、2013年、2017年)
◉最多打点 1回(2013年)
◇表彰
◉年間MVP 1回(2013年)
◉ベストナイン 3回(遊撃手部門 2011年・2013年、二塁手部門 2017年)
◉ゴールデングラブ賞 1回(二塁手部門 2017年)
◉月間MVP 2回(2015年8月度、2017年3・4月度)
◆楢岡美和選手 Miwa Naraoka
◇タイトル
◉最多安打者 1回(2016年)
◉本塁打者 1回(2016年)
◉ヴィーナスリーグ3部首位打者 1回(2019年)
◇表彰
◉打者部門 敢闘賞 1回(2014年)
◉ベストナイン 3回(外野手部門 2016年・2017年・2018年)
◉ゴールデングラブ賞 2回(外野手部門 2016年・2017年)
◉月間MVP 3回(2016年7・9月度、2018年5月度)
◆野球との出会い
◇川端さん
兄の影響で小学3年生から硬式野球をはじめ、中学でソフトボールに転向。女子野球のプロリーグが発足した2009年に、トライアウトを受けプロ野球選手となった。(実兄は、東京ヤクルトスワローズの川端選手であり、初の兄妹のプロ野球選手となった。)
◇楢岡さん
兄の影響で小学1年生で野球を始めた。中学時代は、女子高校野球部の練習に参加し高校生と同じメニューをこなした。高校時代は女子硬式野球部で活躍し、2012年にトライアウトを受けプロ野球選手となった。
◇同じチームに所属
(女子プロ野球は2010年に始まり、コロナの影響もあり2021年までの活動となった。現在は無期限の活動休止)
川端さんがチームのキャプテンをしていたプロ野球チームに、楢岡さんが入団した。
川端さんは、楢岡さんの入団当時を振り返り、「当時は、挨拶することから指導した。」と笑った。話をする機会もそう多くはなかったが、チームのキャプテンを楢岡さんに引き継いだころから、会話が増えた。
◆「九州ハニーズ」の立ち上げ
野球が好きで続けたい選手はいるが、女子の野球環境は厳しい。
男子は野球のプロ選手として活躍に応じて報酬があり、環境も整っている。女子野球を続けていくには、身体や精神力向上を図る体制の整備とともに、金銭面でも続けられる環境が必要だと考えている。
2021年の女子プロ野球活動休止を機に、女子野球選手が活動を続けられるよう、2人は女子野球のクラブチームが無い九州、福岡県大野城市を拠点に「九州ハニーズ」を立ち上げた。
九州ハニーズには、現在18人の選手が在籍。アスリート雇用といったかたちで、企業に採用されているが選手に野球での収入は無い。選手それぞれが民間会社や介護施設などで仕事をしながら練習し、全国大会、九州リーグ、福広マッチ(はつかいちサンブレイズ(広島県廿日市市)との試合)など、年間35試合を戦っている。
野球に必要な経費の捻出は、九州ハニーズの活動に賛同いただいたスポンサー(約30社)からの寄附などが主となっていて、常に厳しい財政事情である。
◆ワールドカップ優勝と引退
2人は日本代表選手として、2024年WBSC女子野球ワールドカップに望んだ。楽な試合は一つもなかった。奇跡的な逆転劇もあり、日本の7連覇の偉業を達成した。
しかし、活躍の裏では、2人とも、体の故障を抱えていた。
左肘の怪我で、握力計でも測れないほどの握力しかなく、腰や足の故障にも苦しんだ。(川端さん)
右ひじの故障で、痛み止めの注射をして試合に出場した。(楢岡さん)
ワールドカップを終え、栄光のさなかの11月2日、引退を発表。口を揃えて、野球はやり切ったと話す。
◆今後の活動 私たちにできることを
高校の女子野球部は、女子プロ野球の発足を機に増えていった。目指す所があるからこそ裾野も広がっていく。
今ある夢の舞台は「日本代表 侍ジャパン」。代表の前のステージとして社会人チームや企業クラブチームの存在が重要となる。
九州ハニーズもその1つ。今後は裏方として、次代を担う選手が輝けるよう、野球を好きだからこそ、女子でも続けられる環境をつくって行きたい。
今後は、運営・企画・営業活動、SNSの発信、イベント企画やファンの感謝祭、グッズのデザインなどといったことでサポートし、チームを育てたいと考えている。
◇川端さん
「今年は、地域のお祭りやイベントに参加させて頂いて、子どもたちとの交流も増えました。地域との繋がりを大事にしていきます。九州ハニーズの試合に、ぜひ、遊びにきてください。」
◇楢岡さん
「九州ハニースの試合観客数を、今年より来年、再来年と増やし、たくさんの人に見に来てもらいたいです。
有望な選手も加わりますので、楽しみ楢岡さんにしていてください。」
「地元の女子野球チーム「九州ハニーズ」を応援してね!!」
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