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あけてみよう! 歴史のとびら 185

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福岡県大野城市

■発掘調査よもやま話
◇「貨布」との出会い
昭和56(1981)年5月、本市の北部にある仲島遺跡の調査の時です。幅が60cmほどで細長く土の色が違う部分が見つかったため、水路の跡と判断して、深さを調べるために作業員に少し掘ってもらいました。すると、掘り上げた土の中に小さく薄い板切れのようなものが見えました。洗ってみると、青銅製品のようで、表面には漢字か模様か分からない線が見えました。一つは中国古代貨幣の「貨泉」の「貨」の字のように見えましたが、その他は分かりません。何であるかを調べるため、都府楼跡にあった福岡県の大宰府調査事務所に持って行きました。技師が中国の考古学の概説書の頁をめくり、これじゃないかと言います。私を含めて、その場にいた人たちがそれだと言い合ったような気がします。農具の鍬のような形をした貨幣で、右に「貨」の字、左に「布」の字のある、中国新代(西暦8〜23年)に作られた青銅製貨幣「貨布」でした。日本での初出土です。この時教えてくれた技師が後に西南学院大学教授になる高倉洋彰先生です。
それからが大変でした。新聞では一面トップ記事として、あるいは社会面で大きく扱われ、テレビやラジオでも放送されました。当時の中央公民館での展示に、一日で400人以上の見学者がありました。
「貨布」は長崎県と大阪府でたまたま地上で見つかっていますが、今もって、発掘調査で見つかったのはこの仲島遺跡出土例だけです。
中国新代は日本の弥生時代後期の始めごろに当るので、そのころ掘られた溝から発見されれば問題はないのですが、古墳時代後期の6世紀後半の溝から見つかりました。それも謎の一つです。

問い合わせ先:心のふるさと館ミュージアム担当
【電話】558-5000

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