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自治体の皆さまへ

手と手をつないで No.381

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福岡県太宰府市

山口 裕之(やまぐち ひろゆき)(マザー・アース人権啓発研究所主宰)

■「らしさ」を問い直す性別にとらわれず、ともに輝いて生きるために
○私の周りにあった「男/女らしさ」
私は昨年還暦を迎えました。出身高校の同窓会ではこれまでにない数の同窓生が集い、思い出話やそれぞれの人生についての話に花が咲きました。
その中で、次のような話題が上がりました。
・単身赴任経験者は男性が多く、外食などに頼ることが多くなって健康を害した。
・ひとり身になって掃除、洗濯などの日常生活をやりくりするのに苦労した。
・過労死、自死した友人は男性が圧倒的に多い。
・親一人で子育てをしている人のうち、シングルマザーの生活困窮度が高い。
・女性の管理職や議員の割合が低い。
私たちが日常で社会通念のように受け入れている「男/女らしさ」に基づく言動や「こうあるべき」という感覚が、お互いの生活を追いつめ、豊かな人生に制約を生じさせているのではないかと感じました。
後日、私の周囲の人に尋ねたところ、同様の内容が多く聞こえてきました。読者の皆さんはどのような印象をお持ちでしょうか。
以上のような状況は、政府・自治体や各界の調査結果においても数値的に裏付けられています。

○これまでに、そして今にもある「らしさ」
「一家の大黒柱」という言葉で連想されるのは、男性ではないでしょうか。またよく考えてみると男女差別や偏見につながる言葉や考え方が現代にもたくさん存在しています。―女々しい、男らしくない、女のくせに、男子厨房に入るべからず、家内、主人、父兄、…―
私も含めて、男性は外で働き女性が家庭を守るという考え方や男尊女卑の感覚、「家」制度の認識が色濃く存在する環境で生まれ育った人には男女共同参画の営みにブレーキをかける感覚や無意識な言動が内在していると思います。
「男性には生活的自立を、女性には経済的自立を―」とさけばれてずいぶん年月が経ちますが、私たち一人一人にとって心地よく安心して暮らせる社会にはまだなっていないようです。

○ともに輝いて生きるために
より良い関係や社会を創り出していくためには「男/女らしさ」をはじめ自らの誤った認識を少しずつ改め、新たな出会いや学びの機会にふみ込んでいくことが必要だと思います。
さまざまな立場で生きている人々がお互いの声や経験、願いをしっかり受けとめ、差別や不合理に気づき、これらをどうやってなくしていくかをともに考えていくことはとても大切なことです。それはこの同じ空の下をともに輝いて生きるためでもあり、また同時に自分自身が豊かな生き方を整えていくためでもあるのです。

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