教育長 井上 和信(いのうえ かずのぶ)
教師になり5年目。6年生秋の鍛錬遠足は宝満山登山でした。山頂での昼食後、遊んでいた一人の子が足を捻挫してしまいました。「歩けない」と言います。できるだけの治療をしましたが、結局痛みは引かずおぶって下山することになりました。
学年で男性教員は自分だけです。小柄な子でしたがそれでも6年生。歩くほどに重さがこたえてきます。途中で何度も「痛みはどう?」「歩けそう?」と聞きますが、期待する返事はなく「痛い。歩けない」と言うだけです。疲労で足が大きく震えましたが、それでも歩くしかありません。転んで怪我をさせてもいけないので、慎重に慎重にと歩き、どうにか無事に竈門神社まで降りてくることができました。
あの背中の子は現在50歳になっているはずです。おぶわれて宝満山を下山するというのは、なかなか出来ない経験だと思いますが今でもあの子は覚えているでしょうか。
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