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自治体の皆さまへ

手と手をつないで No.379

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福岡県太宰府市

山口 裕之(やまぐち ひろゆき)
(マザー・アース人権啓発研究所主宰)

■すべての市民がかけがえのない個人として尊重されるために
○7月は同和問題啓発強調月間です
福岡県では、同和問題の早期解決を目指して、昭和56年度から毎年7月を「同和問題啓発強調月間」とし、県内の市町村ではさまざまな取り組みが行われています。本市においても、同和問題(部落差別)の解決を自分自身の課題としてとらえ、市民一人一人の人権意識の高揚を図るため、街頭啓発や同和問題啓発強調月間市民講演会などの取り組みを行っています。
同和問題とは、特定の地域の出身であることなどを理由に、結婚や就職などにおいて不当な扱いや差別的言動を受けるという、日本固有の人権問題です。
国民全体で解決すべき問題として、これまでにさまざまな対策が行われ、一定の成果が上がってはいますが、近年では、インターネットの掲示板やSNSなどで差別を助長する悪質な書き込みが行われるなど、情報化の進展に伴って差別に関する状況の変化が生じています。

○正しく学び、行動していく
「そっとしておけば、部落差別は自然になくなる」「寝た子を起こすな」という言葉を聞くことがありますが、これは誤りです。人々の差別意識が解消されずに残っていれば、差別そのものが解消されることはありません。だれかの人権が守られない社会では、そこで暮らす私たち自身の人権にも、いつ攻撃の刃が向くかわかりません。同和問題の解決は、私たち一人一人の課題なのです。
そこで、本市では2020年に「太宰府市部落差別の解消の推進に関する条例」を施行しました。この条例は「部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現すること」を目的としています。
同和問題をはじめさまざまな人権問題の解決のために、市内の全ての小中学校では「正しく学び、差別に気づき、なくしていく感性と行動力を高めていく教育」が子どもの発達段階に応じて進められています。
また、大人については、部落差別をはじめ、障がい者差別、外国人差別、平和維持などさまざまな人権課題についての学びの場として人権講座「ひまわり」を開催しています。大人も子どもも全市民で差別の現実から深く学びながら新たな行動をおこしていきましょう。
人権講座「ひまわり」や市民講演会などの研修会に参加する、書物や資料などから新たな情報にふれる、身近な人たちとミニ学習会を開くなど、まずはできるところから行動されてはいかがでしょう。

○コロナ禍を越えて新たな人権のステージへ
新型コロナウイルス感染症の波は本年春から一定のおさまりをみせ、感染症法の位置づけも「5類感染症」に移行しました。
けれども今後、私たちのくらしや地域社会のあり方が単に3年半前に戻るだけではもったいないと思います。コロナ禍中で見えてきたさまざまな課題や壁を乗り越える新たな人権尊重のステージにみんなでのぼっていきたいものです。

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