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きゅうはく通信(157)

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福岡県太宰府市

九州国立博物館 文化財課

■文定王后(ムンジョンワンフ)の願い―特集展示「うるわしき祈りの美―高麗・朝鮮時代の仏教美術―」に寄せて―
朝鮮時代に生きたある女性の半生を描いたドラマ「宮廷女官(きゅうていにょかん)チャングムの誓い」は、2004年に日本での放送が始まり、「冬のソナタ」に継ぐ大ヒットとなって韓流ブームを確かなものにしました。劇中、チャングムを主治医として取り立てる11代中宗(チュンジョン)(在位1506~44)と王妃が登場しますが、今回の特集展示ではこの王妃、文定王后がキーパーソンの一人です。
儒教が重んじられ、時に仏教が排斥された朝鮮時代でしたが、仏教を篤く信仰した文定王后はその復興に尽力しました。文定王后の生涯最後となる大事業が、息子である13代明宗(ミョンジョン)(在位1545~67)の健康と世継ぎ(孫)の誕生を祈って描かせた400幅もの仏画制作です。現存するのは6幅のみですが、今回はそのうち2幅の「薬師三尊像」を展示します。王室専属の画家が描いたこれらの仏は、鼻や口が小さく、優しい顔立ちをしています。400幅は完成したはずですが、その奉納と共に開かれるはずだった法会の直前、仏教の保護を維持するよう遺言を残して文定王后は亡くなります。すると一転、仏教の勢いは急激に後退することとなり、法会も中止に追い込まれたのです。
困難の多い時代、仏に救いを求めた宮廷の女性たちがいました。本展で展示する「薬師三尊像」は、その中でも最も熱く仏教を信じ、その復興に心血を注いだ文定王后の祈りが込められています。

■9月の展示情報
・特集展示 文化交流展示室 第9.11室 うるわしき祈りの美ー高麗・朝鮮時代の仏教美術
会期:9月5日(火)~10月15日(日)

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