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太宰府の文化財(460)

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福岡県太宰府市

■市指定有形民俗文化財 平井家瓦製作用具(ひらいけかわらせいさくようぐ)および関連資料(かんれんしりょう) ―前年度に新たに指定された文化財―
令和4年11月25日付けで新たに1件が太宰府市指定文化財に指定されました。現在、市指定文化財は合計34件です。
この資料は、五条で昭和30年代中頃まで瓦屋を営んでいた平井家で保管されていた、江戸期から昭和34年にかけての瓦製作に関わる用具と、関連する資料一括(総数169点)です。ちなみに当平井家は、中世に九州一円の鋳物師の総領だったことが文書史料によって知られています。
瓦の製作用具には、軒先(のきさき)を飾る文様のついた瓦の型がさまざまあります。用具の中で最も古い年号をもつものは嘉永(かえい)3(1850)年と墨書された桟(さん)瓦軒(のき)瓦用の木製の型(本紙またはPDF版掲載の写真2)で、瓦屋業が江戸期にさかのぼる事を示します。太宰府らしい梅鉢紋(うめばちもん)という五弁の梅の花を表わした巴(ともえ)瓦の型が複数あり、裏面に「太宰府神社社務所」と刻まれたものもあることから、太宰府神社(現在の太宰府天満宮)からの注文も受けていたことがわかります。
そして、この平井家が請け負った大きな仕事の一つとして、昭和34(1959)年に竣工された観世音寺宝蔵(ほうぞう)の瓦製作があります。当時20代前半で父親の家業を手伝った平井勝也(かつや)さん(故人)によれば、1年がかりで製作したといいます。その後、間もなく瓦屋は閉業し、用具の多くは廃棄されたそうですが、一部を勝也さんが大切に保管されてきました。令和4年1月に市が寄贈を受け、調査・整理を進め、「太宰府における近世から現代における瓦生産のあり方を知ることができる貴重な資料である」ことから、初めての市指定有形民俗文化財に指定することとなりました。
市内の発掘調査では、「平井」の文字が刻印された古代瓦の出土もあり、関連性に興味が持てる資料でもあります。

文化財課 遠藤 茜(えんどう あかね)

■まるごと太宰府歴史展2023開催中
現在、近世のコーナーで本資料の一部も展示しています。ぜひお出かけください。
期間:11月3日(金・祝)まで ※月曜休館
会場:太宰府市文化ふれあい館

■「令和4年度発掘調査成果展ー国分・坂本地区編ー」開催
昨年度実施した川添遺跡、小正府遺跡、大宰府条坊跡346次調査の調査成果を紹介します。
期間:9月1日(金)~11月5日(日)
会場:文化ふれあい館1階多目的ホール

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