◆百済金銅大香炉(ペクゼグムドンデヒャンロ)が発見されるまで
太宰府市国際交流員
金辛泫(キムシンヒョン)
百済を代表する金銅大香炉。その造形が非常に優れ、整った美しさであることから百済文化の精髄(せいずい)と呼ばれ、百済を象徴する遺物です。
1993年12月12日、陵山里古墳群(ヌンサンリゴブングン)を訪れる観光客のために駐車場を整備しようと敷地を掘っていた際に発見されました。周囲には瓦と土器の欠片、そして繊維の一部も一緒に発掘され、大香炉を包んだ布が時を経て削られたものと推定されています。以降の調査で、香炉が発見された場所に百済時代の王室の寺院があったことも明らかになりました。
王室で祭祀用に使われる物が布にきれいに包まれたまま地面に埋められた理由は、660年に泗沘(サビ)城が陥落して略奪と放火が行われた際、ある百済人が急いで隠したためという見方があります。この香炉は、そのまま千年以上もの間、地中に埋まり酸素が遮断されたおかげで、原型をそのまま維持することができました。
この香炉が発掘された後、どの博物館が所蔵するかで意見が分かれました。最初は国立中央博物館が所蔵していましたが、出土地から最も近い博物館で所蔵するのが正しいという結論により、現在は国立扶余博物館でその秀麗な姿を見ることができます。
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