・話し合う
・理解する
・共に生きる
◆話し合うこと「合理的配慮」
障害者差別解消法が改正され、本年4月1日から事業者に対して障がい者への合理的配慮の提供が義務化されました。このことをテーマに、障がい者の社会参加を支援する皆さんに話を聴きました。
●NPO太宰府障害者団体協議会
・理事長 森口忠彦(もりぐちともひこ)さん
・理事 藤井智子(ふじいともこ)さん
●太宰府市身体障害者福祉協会
・会長 田中立夫(たなかたつお)さん
●太宰府市身体障害者福祉協会
・副会長 秋田頼子(あきたよりこ)さん
●NPO太宰府障害者団体協議会
・理事 金子史郎(かねこしろう)さん
▽障がい者差別解消の現状
(田中さん)平成28年に障害者差別解消法(以下、法律)が施行されました。令和4年の内閣府の世論調査によると、障がい者差別があると答えた人の割合は88・5%、法律を知らないと答えた人は74・6%と厳しい現状です。
(森口さん)法律の制定前には、もっと明らかな形で差別があり、障がい者はとても苦労していました。最近は少しずつ理解が深まっていますが、障がい者自身はまだまだ社会に出て生きづらいと感じているようです。
▽日常にある合理的でないこと
(福祉課職員)合理的配慮は、障がいのある人が障がいのない人と平等に社会生活に参加できるよう、障がい者の特性や困りごとに合わせた配慮をすることです。皆さんが合理的配慮が必要だと思う場面はありますか。
(田中さん)わたしは電動車いすを使っていますが、買い物の時、入口に商品がたくさん並べられ店内の通路も狭い店舗で入店を断られた経験があります。別の店に行き買い物するように言われました。
市役所の多目的トイレも過去は一人では開けられない手動ドアでしたが、現在は自動ドアになって助かっています。駐車場のアプローチも広く屋根がついて、とても良くなりました。
(秋田さん)全盲の人で、毎日電車で仕事に通う人がいます。長年の経験や勘、時には知人の助けが頼りです。仕事が終わり疲れていると感覚が鈍って駅の中で自分の場所がわからなくなる時もあります。駅員さんがいない駅だと手助けを頼むことができず不安です。
(藤井さん)音や光が苦手など、障がいが表面的にわからない人もいます。知的障がいのある人は漢字が読めない場合もあるので、ふりがなをつける配慮が必要です。精神障がいのある人は波があって仕事に行けずサボっていると思われることもあるので、雇用している事業所にも理解してもらえると良いのですが。
(森口さん)合理的配慮にも限界があって全てが可能だと思いませんが、対話してお互いの考えを擦り合わせていくことは大事です。障がい者自身も、困ったことがあれば自分の状況をきちんと伝えて、聞く人も耳を傾けるのが当たり前になると良いですね。
(藤井さん)障がい者一人一人が困っていることを口に出すことも必要ですが、わたしたちに相談してもらって、みんなで声をあげることもできます。小さな声も逃さずに聞き取って、障がい者の困りごとや改善したら良いと思うことを、関係機関や人に伝えます。
▽理解するきっかけに
(金子さん)障がい者週間の特別事業として、12月7日(土)午後1時〜3時に、総合体育館(とびうめアリーナ)で、台湾で起きた地震の事例から学ぶ災害時要配慮者の防災対策についての講演会を開催します。(詳しくは本紙P31に掲載)
障がいのある人も、障がいへの理解を深めたい人も、関わるきっかけとして参加してほしいですね。
◆身近な合理的配慮
普段の生活の中にも、合理的配慮ができる場面はたくさんあります。働いている職場でできることもあります。周りで合理的配慮が必要な場面がわかれば協力することもできます。日常の中にある合理的ではないことに、気づくことから始めてみませんか。
例えば
・公共交通機関の駅にエレベーターがある
・駅のロータリーが広くて使いやすい
・車いす、電動車いすで入店できる
・身体障がい者用駐車場が入口の近くにある
・選挙で点字投票ができる
・自分で書くことが難しい人への配慮がある
・会話が難しい人には、筆談やコミュニケーションボードを使う
・オペレーターが「手話・文字」と「音声」を通訳する電話リレーサービスを使う
・病気の症状や治療方法を紙に書いてわかりやすく説明してもらえる
・コミュニケーションボードで意思確認する
・光やチャイムなどの大きな音が流れる場面では、事前に伝える
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