九州国立博物館博物館 科学課
■特別展「生誕270年長沢芦雪―若冲、応挙につづく天才画家―」
近年、日本国内だけでなく、海外でも注目を集めている画家がいます。その名は、長沢芦雪(ながさわろせつ)。伊藤若冲、円山応挙、池大雅など、日本美術を代表する巨匠たちがきら星の如く活躍した18世紀後半の京都で頭角をあらわし、その大胆かつ卓抜した画技と、どことなくユーモラスな表現で、たちまち人々を魅了しました。
そんな芦雪の名品が一堂に会する待望の特別展が、九州国立博物館で開催されます(2月6日(火)~3月31日(日))。必見は、九州初上陸となる芦雪の代表作、虎図(重要文化財、和歌山無量寺・串本応挙芦雪館蔵、2月6日~3月3日展示)。この作品は、師匠の応挙のもとで技術を磨いた芦雪がひとりの画家として独立し、気力充実した33歳から34歳の頃に制作した襖絵(ふすまえ)です。無量寺では、ご本尊をまもるように、東側の龍と、西側のこの虎が対となって睨みをきかせています。虎は、まるで画面から飛び出してきそうな躍動感があり、大きな前脚の爪も迫力満点です。ですが、その顔は丸くて、猫のようにかわいい。墨と筆で描かれた毛皮も、ふかふかで滑らかそうな感触が伝わってきます。東アジア文化圏で描かれた虎図は数多ありますが、芦雪の虎の瞬発力と可愛さは唯一無二です。芦雪は一方で、抒情的な山水図なども得意としました。万華鏡のように多彩な絵画世界をお楽しみください。
■2月の展示情報
○特別展(3階特別展示室)
・生誕270年長沢芦雪―若冲、応挙につづく天才画家―
会期:2月6日(火)~3月31日(日)
○特集展示(4階文化交流展示室)
・日本刀の美―北﨑徹郎の愛刀―
会期:1月30日(火)~4月14日(日)
<この記事についてアンケートにご協力ください。>