北方領土に関する全国スピーチコンテスト奨励賞
三宅 蓮さん
「大切な故郷のまちが不合理に奪われるのは、誰にとっても無念なこと。僕たち若い世代が、北方領土問題を忘れず、解決の道を探っていかなければ」。北方領土に関する全国スピーチコンテストで奨励賞を獲得した、宮若東中学校三年生の三宅蓮さん。
この問題を通して芽生えた意識や、伝えたい思いを語ります。
三宅 蓮さん【みやけ れん】
宮若東中学校3年生、鶴田地区在住。
バスケットボール部キャプテンや生徒会保健委員長を務める。好きな科目は理科。
将来、洋食の調理師になることが目標。
■「故郷(ふるさと)」を追われることとは
「こんな大きな賞をとったのは初めてなので、とてもびっくりしたし、うれしかったです」。県の選考で最優秀賞を獲得し、全国六千三百五十点から最終選考の十点に選ばれた、三宅さんのスピーチのタイトルは「故郷(ふるさと)」。生まれ育った宮若市の情景から始まります。
「僕の家のまわりは見渡す限り田んぼで、スーパーもコンビニもないけど、部活帰りで疲れている時に車の窓から吹き込んでくる風を浴びると本当に気持ちがいいんです。こういう、自分を落ち着かせてくれる場所が故郷だと思うので、突然故郷を追われ、自由に訪れることもできなくなった人たちは、どんなに無念だろうと思います。ロシアとの交渉は、現在断裂してしまっているけれど、平均年齢が八十八歳を超えた元島民のことを思うと、もう時間はほとんどないと思うんです」。
■小さなことも自分ごとと捉える
「この問題を解決するためには、せめて、両方の国の人たちが自由に行き来できる環境を作っていくべきだし、僕たち若い世代が自分たちの問題として捉えていかなければと思います。もし自分が故郷を追われたとしたら、と。その時に一方の視点ではなく、既に居住開始から七十五年以上が経っている現島民の気持ちも忘れてはいけないと思います」。
スピーチを次のように締めくくります。「僕が今できることは、北方領土の勉強をすること、ニュースに関心をもつこと、小さなことでも自分の問題として捉え、意見をもつこと。この問題にもっと興味をもち、学び続けていきたい」。
社会科の授業の一環で出会った北方領土問題は、三宅さんの心に響き、素晴らしいスピーチを生み出しました。
「この夏は、コンテストの副賞で北海道根室市に行って、北方四島を実際に望むなど、学習を深める予定です。現地でしか感じとれないことをしっかり学んできます」。
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