■Part2 教育編
時代と共に変わる指導方法、変わらない子どもたちに伝えたい思い。
◆大事なのは、人を思いやる心、考える力、感謝すること。
「当たり前」の裏には、気づかぬうちに見落としている大切なものがあるかもしれません。
「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」をモットーに、市内で活動する少年野球チーム『宮若ホワイトファイターズ』。その監督を務める山本憲治さんは、性別や背景にとらわれず、一人ひとりの個性を尊重しながら、自分に合ったプレイスタイルを磨く手助けをしています。
そんな山本監督が考える今と昔の指導方法について、紐(ひも)解いていきます。
宮若ホワイトファイターズ監督
山本 憲治(やまもとけんじ)さん
宮若市出身。現在55歳。趣味は、宮若ホワイトファイターズの子たちと野球をすること。
◇時代の流れと共に必要な変化
「昔は水分補給をさせてもらえなかったり、坊主頭が当たり前だったりした時代でしたね」。笑いながらそう話すのは、少年野球チーム『宮若ホワイトファイターズ』の監督、山本憲治さん。仕事の傍ら、子どもたちに野球を教えています。
「今と昔を比べると、違う所ってたくさんあるんですけど、一つ挙げるとしたら『言葉』ですね。うちのチームは学校の授業と一緒で、50分ごとに休憩を設けています。しかし、練習を始めて10分ぐらいで水分補給をしたいって子もいるんですよ。『喉渇いたら、自分で言いに来てね』と、子どもたちには言っています。昔じゃこんなこと言うなんて、考えられないですよ。
そして、昔は優れた技術を持つ男の子が、キャプテンを務めるのが一般的でした。しかし、私は男女の区別なく、リーダーシップや周囲への気配りができる子をキャプテンに選んでいるんです。特に今のキャプテンは、他のメンバーが嫌がることを率先して行っていて、チーム全体の模範となっています。男の子だろうと、女の子だろうと関係ないですね。
指導方法も時代に合わせて変わっていかなきゃいけないと思っていますし、こうした変化は、時代の流れと共に子どもたちが成長するために必要なものだと思っています。指導者としては、昔ながらの良い部分も大切にしながら、子どもたち一人ひとりの声に耳を傾けることが、今の時代に求められる役割だと感じています」。
◇言葉以外に大切なもの
「子どもは大人の背中を見て育つと思っていて、指導者である私もその姿を見せることが重要だと考えています。例えば私がグローブを磨いていると、『あ、監督がグローブ磨いている』って、子どもたちは思うんですよ。『道具を大切にしよう』と、言葉だけ伝えるだけでなく、私が率先してグラウンド整備や道具の手入れを行い、子どもたちに行動で教えているんです。頭ごなしに指導するのではなく、後ろ姿をみて分かってもらったり、キャプテンから仲間に伝えてもらったりなど、子どもたちが理解しやすいような配慮もしています。大人の行動次第で、子どもたちは良い方向に変わるということを、皆さんにも知ってほしいですね」。
◇山本さんなりの指導方法
「技術指導よりも『人を思いやる心』や『考える力』を育むことに重点を置き、個性を尊重しながら指導しています。投げ方や打ち方も、性格や体格などによって違うんですよ。それを矯正するのではなく、子どもたちが自分に合ったスタイルを見つけることを応援します。子どもだって、考えて行動しているんです。そこは尊重しなきゃいけないですね。
性別にかかわらず、『みんな一緒に』という姿勢で接し、キャプテンも女の子が務める現在のチームは、時代に合った指導ができているのではと思います。
また、子どもたちには、『野球ができることは当たり前じゃないからね。やりたくてもできない子もいるんだよ』と、自分が野球ができる環境にいることを当たり前と思わないで、感謝することも大事だと教えています。
時代が変わっても、野球を通じて仲間と協力し、自分に与えられた環境に感謝する心を、子どもたちに伝えたいという思いは変わりません」。
◆TOPICS3 宮若ホワイトファイターズ
◇私たちと一緒に野球をしませんか
練習日:火曜日・水曜日・金曜日、午後6時から8時まで、土曜日・日曜日・祝日は練習試合など状況による
練習場所:宮若ホワイトファイターズ専用グラウンド(本城)
募集対象:小学1年生から6年生まで
指導者:山本憲治監督、安藤晋祐コーチ、土橋健二コーチ
会費:月額3,500円
申込み・問い合わせ:山本憲治
【電話】090・8669・5366
◆TOPICS4 少年の主張大会
◇宮若ホワイトファイターズ キャプテン 立原 凜花(たちはらりんか)さん
11月10日、宮田文化センターで令和6年度少年の主張大会を行いました。
優秀賞を受賞した立原さん。『自分らしく生きよう』と題し、「男だから女だからと考え、チャレンジすることをやめたり、女の子なのにという声を気にして諦めたりしないで、好きなことを堂々とやり続けてほしいです」と、自身の経験から得た考えを発表しました。
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