■市政編
同じ目線、対話からまちの未来を描く。
◆宮若市が、住む人にとって誇れるまちとなるよう。
塩川市長のハラスメント報道が全国を駆け巡り一年が経過します。
市議会でも百条委員会が設置され、ハラスメントが認定されました。市長はこれを契機に改めて住民の皆さんの声に耳を傾け、自問を繰り返す中で、当時の考え方を振り返っています。
今回改めて、塩川市長の気づきからまちの未来を見据えます。
宮若市長
塩川 秀敏(しおかわひでとし)
宮若市出身。現在76歳。令和4年3月宮若市長就任。
趣味は剣道(錬士六段)、読書。
◇昭和の時代だからと済まされるものではない
私は昔、高校の教師をしていました。そこでは、生徒の成長を願い厳しい指導をして熱血先生と言われていました。その厳しさが生徒のためになると信じていたからです。
「人としてこうあるべきだ」「男は、こうでなければならない」「女は、こうあるべきだ」という自分の価値観で指導を行い、時には生徒と共に、涙を流すこともありました。当時の私は、それが正しい教育であり、生徒の将来のためになると、疑うことはありませんでした。
しかし、昨年11月に私の言動が、ハラスメントに当たるのではないかと報じられました。その影響は、学校や地域社会、さらには市政にまで波及し、多くの皆さんに大変ご迷惑をおかけする結果となりました。
この事を契機に、これまでの自分の言動や指導方法を深く振り返ることとなり、それがハラスメントに該当する行為であることを知りました。
私は、自分の価値観を相手に押し付ける一方的な指導を行っていたことに気づかされました。自分が正しいと思うことが、必ずしも相手にとって正しいとは限らないという事さえ、理解していなかったのです。
昭和の時代とは違い今は価値観も多様化しています。『家庭』では、共働きや育児休暇の普及に伴い、家族の在り方や役割分担が変化しています。『教育』では、一人ひとりの個性を尊重し、その可能性を伸ばす指導が求められています。『企業』では、社員が安心して働ける環境づくりや、多様性を尊重する取り組みが進んでいます。『地域』においても、互いの意見を尊重し合い、共に未来を考える姿勢が重要です。私は、こうした変化を理解し、柔軟に対応することが求められる時代の流れに、対応できていませんでした。
◇気づきから行動へ
今回の経験から、自分の指導や言動を見直す機会を得て、職員にとって安心安全で働きやすい職場環境づくりは、職員の権利を守るために不可欠であり、自分の思いだけで行動するのは、許されないことだと自覚しました。市政を預かる身としても、まずは自らの姿勢を改め、謙虚に市民の声に耳を傾けることの重要性を再認識しています。
まず、私自身が反省し、そして言動を変えていかなければいけません。『市民主体』『市民目線』を基盤に『一人ひとりが輝き、シビックプライドに満ちた元気なまちづくり』に励む覚悟です。行政としてさまざまな政策を打ち出す際も、一方的な押し付けではなく、多様な意見を取り入れ、市民との対話を重視することが大切だと考えています。
その例として、現在、中(なか)ブロック協議会では、地域住民の意見を受け入れながら、地域の発展を目指す取り組みを進めています。また、人権講演会の開催や啓発活動を通じて、人権教育にも力を入れ、市民、行政、学校、地域社会が一体となり、全ての人の人権が尊重される社会の実現を目指していきます。
こうした取り組みを通じて、誰もが安心して暮らせる地域づくりを進めていきます。
本市の総合計画の将来像である『ひと・みどり・産業が輝く ふるさと宮若』の実現に向けて、一人ひとりが力を合わせて取り組む姿勢を大切に、豊かな自然と調和した地域の成長を目指し、産業の振興や人材育成にも力を注ぎます。宮若市が、住む人にとって誇れるまちとなるよう、これからも全力で取り組んでいきます。
◆TOPICS9 仲間はずれはダメ絶対
◇子どもたちの人権意識を育む人権紙芝居
11月6日、直方人権擁護委員協議会が宮田南幼稚園を訪れ、人権紙芝居などを活用した人権教室を行いました。
幼児期の人権感覚の醸成を目的に行われているもので、毎年地区内の幼稚園や保育園で活動を行っています。この日は、「みんな仲良く」をテーマに大型紙芝居や人形劇など3つの作品を子どもたちに披露。声を合わせて登場人物を応援したりみんなで踊ったりと、楽しく学びました。
西田義雄会長は、「仲間外れやけんかは楽しくない気持ちになりますよね。みんな仲良くという気持ちを忘れずに、元気に楽しく幼稚園で過ごしてくださいね」と、話しました。
■編集を終えて
私は、この特集を通して皆さんに、「あなたは時代の変化についてどう考え、そして、行動をしますか」と、問いかけたいと思います。今回の取材を進める中で、多くの人の思いに触れ、『時代の変化』について改めて深く考える機会となりました。私自身も編集をしながら、時代に合わせて変わらなければいけないと、感じる日々でした。
しかし、この記事を読んだ皆さんが同じ思いになるとは思っていませんし、そうである必要もないと思っています。むしろ重要なのは、皆さんがそれぞれの立場で考え、行動することなのです。
昨年は、性的マイノリティーに対する理解を広めるための『LGBT理解増進法』が、施行されました。これは、時代が急速に変化し、社会が多様性を受け入れる方向に進んでいることを象徴しているのではないかと感じます。そのような時代だからこそ、私たち一人ひとりも変化を受け入れ、新たな価値観を築いていくことが求められています。
しかし、時代がどれだけ進んでも変わらないものがあります。それは、『人を思う心』です。家庭であれば、子を思う心。地域コミュニティでは、住民同士が助け合う心など、変わらないものも大切にしなければなりません。
今回の特集で、皆さんが時代の変化を考えるきっかけとなり、一歩を踏み出す助けとなれば幸いです。
一人ひとりが相手を思いやり、互いの声に耳を傾けること。それが『ひと・みどり・産業が輝くふるさと宮若』を実現するための第一歩だと信じています。
(広報担当:端倉)
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