■すべての子どもに「家庭の暮らし」を里親制度を知っていますか?
里親とは、さまざまな事情で家庭で暮らせなくなった子どもを自分の家庭に迎え入れ養育する制度です。近年、社会的養護の仕組みの一つとしても注目されている里親について、福岡県里親支援機関OHANAの里親リクルーティング担当者、里親として子どもを受け入れているAさんにそれぞれ話を聞きました。
◇Aさんプロフィル
夫と2人暮らしで60代の夫婦。これまで、未就学児や中学生など多くの子どもたちを受け入れる。
―里親になったきっかけは?
いつかは子どものいる暮らしがしてみたいと思っていました。40代半ばのころ、子育てサポートのボランティアから子育てに関わる相談員の職に就きました。児童相談所との関りもあり、里親が身近になったため研修を受け里親登録をしました。
―どんな時にやりがいを感じますか?
夫婦2人だけの生活に比べて、子どもとの暮らしはとても刺激的です。また、保育所や学校で若いお母さんたちと「ママ友」になれることも楽しいです。里親を始めたころは「○○ちゃんのママ」でしたが、今は「△△ちゃんのばーば」です。
―大変だと思うことはありますか?
里親を必要としている子どもたちはさまざまな課題を抱えています。対応が難しいですが、先輩里親さんに相談したり、職場や子育てサポートの仲間に助けられたりしています。
―里親に関心のある人へメッセージを
暴れる子を落ち着くまで抱きしめたり、知らない家に連れてこられて夜遅くまで泣き続ける子などがいて、体力勝負です。「里親をしたい」と思ったら、年を重ねないうちに早く始めることをお勧めします。血のつながりはありませんが、一緒に暮らすと、とてもかわいく愛おしく思えます。
◇OHANAプロフィル
2018年7月にスタート。2020年8月に福岡県から委託を受けフォスタリング機関(※)として活動
※里親の広報やリクルーティング、里親支援などを行う組織
※同機関HPの詳細は本紙またはPDF版をご覧ください。
―どんな活動をしていますか?
主な活動は、里親制度の広報周知、カフェ形式の相談会の開催、里親の伴走支援などを行っています。昨年度の相談会参加者は、全体で約60人ほどでした。
―どんな里親の制度がありますか?
養育里親、専門里親、養子縁組里親、親族里親などがあります。これまでは、家の事情により家庭で養育できなくなった子どもを短期間預かる養育里親のリクルーティングに力を入れてきました。
―里親リクルーティングの難しいところは?
里親制度の認知があまり浸透していないところや、相談会に参加した人でも登録まで至らないなど、家庭内での合意形成の難しさが課題です。制度を知っていただくことはもちろん大切なことですが、子どもが里親家庭に預けられる背景にも、目を向けてもらいたいと思っています。
―今後どんな活動をしていきたいですか?
これまでの活動の成果を踏まえ、今後は、長期間預かっていただける里親の育成支援や、地域や学校と里親をつなぐ役割など、きめ細やかな部分にも、これまで以上に力を入れていきたいと思います。そのためには、地域で里親制度があたりまえの存在となり、地域の見守りの輪として自然と受入られるよう、地道な活動の積み重ねが必要だと思っています。
■こどもの明日を考える講演会
思春期のこどもと寄り添うおとな~子育てからの親育ち~
こどもにとって親は、最も身近で誰よりも自分の気持ちを理解してほしい存在です。こどもの社会的自立を応援するおとなとしての関わり方を考えます。
日時:6月5日(水)19時~21時(開場18時30分)
場所:ピーポート甘木中ホール
講師:奥村賢一さん(福岡県立大学人間社会学部准教授)
託児:1歳~未就学児(5月27日までに要予約)
※参加費無料・手話通訳あり
プロフィル:現在、大学でソーシャルワーカー養成に取り組む。福岡県教育委員会スクールソーシャルワーカー・スーパーバイザー、福岡市いじめ防止対策推進委員会副委員長ほか多数の社会活動に参加。
問合せ・申込先:市文化・生涯学習課
【電話】22-2348
問合せ:市子ども未来課
【電話】28-7568
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