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シリーズ人権

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福岡県朝倉市

■かけがえのない命~大切な時間~
平成29年、私は妊娠していることが分かりました。流産を経験して2年がたち、子どもを授かることを心待ちにしていた頃でした。産むことができなかった子がいたからこそ、新たに宿ったかけがえのない命は、何に変えても大切に育てていこうと、親として決意した時期でもありました。
平成29年は、九州北部豪雨が発生した年でもあります。この災害で33人が亡くなり、2人の行方が分かっていません。その中には私の親戚もいました。
災害の翌年に出産し、ベビーカーで散歩していた時のこと。久しぶりに会った友人から、「名前はなんて言うと?」と聞かれたので答えると、友人は驚いた顔をして、「知り合いと同じ名前」と言うのです。話を聞いていると、「知り合い」とはまさに九州北部豪雨で被災した、私の親戚でした。名字だけしか知らなかった私は、「29年に失われた命」「29年に宿った命」「同じ名前」という偶然に驚きと戸惑いを隠せませんでした。災害で亡くなった人がいる中で、新たな命が宿ったことは、改めて命の尊さを感じるきっかけとなりました。
あの日の朝まで変わらず一緒に過ごしていた人が、「いつもと同じ」と思っていた生活が、突然奪われるという不条理を誰が想像できたでしょう。私たちは、災害によって「大切な人とのかけがえのない日常は、変わらずに永遠と続くものではない」ということを痛感させられました。だからこそ、命の儚さ、命の尊さをかみしめながら、これからの日常を「あたりまえ」ではなく、一瞬一瞬が「大切な時間」なのだと感じ、過ごしてほしいと思っています。
人間は、誰もが「大切な時間」を持つ尊い存在です。現在、世の中にあふれている差別・偏見・いじめは、私たちの日常や「大切な時間」を突然奪い、時には、かけがえのない命さえも奪ってしまいます。私たちは、同じ「大切な時間」を共有している仲間であると認識することで、相手を尊重し、人権を尊重できる社会になるのではないでしょうか。

問合せ:市人権・同和対策課
【電話】28-7861

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