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自治体の皆さまへ

あさくらびと No.38

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福岡県朝倉市

地域で話題になっている人や団体、企業などを紹介するシリーズ。
第38弾は、秋月黒田家第15代当主の黒田長幹さんを取材しました。

■Interview
秋月黒田家第15代当主 黒田長幹(ながもと)さん
東京都在住。平成27年に先代である黒田長榮(ながひで)さんが亡くなり、秋月黒田家の第15代当主に就任する。
コンサルタント業として日本や世界を駆け回る傍ら、朝倉市では秋月博物館の名誉館長のほか、秋月藩成立400年事業などでも精力的に活動する。東京や秋月で「黒田塾」も開催。黒田家に伝わる教え「水五訓(みずごくん)」を軸に、黒田家や秋月の歴史を伝え、それらをどのように現代の人生や社会に生かすかを考える活動を行なっている。
(本紙写真は秋月博物館の入口にて)

■400年の教えを現代、そして未来へ
◇秋月黒田家第15代当主として父であり先代である第14代長榮が亡くなったのが10年前。それから秋月黒田家の第15代当主を継承しました。先代は親しみやすさと“お殿様の威厳”をあわせ持ち、その振る舞いを見ていた私は「父みたいになれるだろうか」と不安も。しかし、400年前の長興(ながおき)公から始まった歴代藩主・当主たちそれぞれに個性があり、「私も私なりにやっていこう」と決意し当主に就任しました。
祖父である先々代、そして父から学んできたのは、地元である秋月への「郷土愛」でした。祖父は秋月博物館の前身秋月郷土館へ、黒田家に伝わる甲冑や屏風などを寄附。地元の子どもたちに「本物を見て感受性を養ってほしい」との思いからです。父は郷土館の理事長として、東京と秋月を行き来する生活。台風が接近すると地元の人に被害状況を聞くなど常に地元を気にかけていました。

◇黒田家に伝わる「水五訓」
黒田家には福岡藩祖黒田官兵衛の教えである「水五訓」が、現代まで400年間伝わっています。私が特に印象深いのが、5つめの教えです。要約すると「水は雲や雨、雪などさまざまな変化をするが、性質は変わらない」との教えです。
私たちが生きる現代は、大きな変化の連続です。その流れに乗らなければならない部分がある一方で、変えてはいけないもの、変わらない方がいいものもあります。私たちは「水」のように、変化に対応していく中でも、「自分」という芯を持ちながら現代社会を柔軟に生きていく必要があると、この教えから感じています。

◇これからの400年
秋月藩成立からの400年を当主として迎えられることは、奇跡だと感じています。400年の歴史の積み重ねに思いを馳せていると、400年後の未来を想像するように。現在の活動が、次の世代の人たちに、いいかたちで残せるようにしたいと考えています。
そのような未来図を描いていると、浮かんでくるのは地元の子どもたちです。“きちんとあいさつをする”。地元の子どもにとっては当たり前のことかもしれませんが、東京ではあまり見かけません。私はそのピュアな感覚が新しいものを生み出すベースになると考えます。その感覚を持った秋月そして朝倉の子どもたちが、日本だけでなく世界で活躍できることを期待しています。

■400年の今~令和6年の活動~
黒田塾は4月に東京の霞会館で開催し、武士道の考え方のほか、オンラインで秋月とつなぎ、秋月の名産品を紹介。7月には秋月コミュニティセンターでも開催し、地元の皆さんと交流を深めました。10月~11月は秋月鎧揃えや三名君フォーラム、甘木盆俄などにも参加しました。令和7年11月には全国藩校サミットが朝倉市で開催。今年も黒田長幹さんの活動にご注目ください!
※黒田塾公式HP・Instagramの詳細は本紙またはPDF版をご覧ください。

■400年前から黒田家に伝わる「水五訓」
一、自ら活動して、他を動かしむるは、水なり
二、常に己の進路を求めて止まざるは、水なり
三、障害にあい、激しくその勢力を百倍し得るは、水なり
四、自ら潔うして、他の汚れを洗い清濁併せ容るるは、水なり
五、洋々として大洋を充たし、発しては蒸気となり、雲となり雨となり、雪と変じ霰と化し、凝しては玲瓏たる鏡となりたえるも、其性を失はざるは、水なり

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