■監査結果の内容
▼監査の実施
▽請求人への陳述聴取
5月27日、請求人に対して証拠の提出・陳述機会を設け、請求人代表者のみが出席した。請求人から追加の証拠資料の提出はなかったが、請求人代表者より請求に係る補足説明があった。
▽関係職員への陳述聴取・監査
5月30日、関係職員への陳述聴取を行った。
また、本件請負契約は町議会において質疑、審議及び議決されている案件であるので本会議及び総務財政委員会の会議録の調査を行った。
▼確認した事実
▽入札談合の有無について
本件請求の対象となる本件入札において、談合事件の発生及び談合情報の提供はなく、談合が行われていたという確たる証拠は存在しない。
▽指名競争入札について
入札には、一般競争入札と指名競争入札があり、一般競争入札は、手続の客観性が高く発注者の裁量の余地が少ないことなどの理由から、公共工事の入札及び契約で不正が起きにくいなどの特徴がある。
一方で、一般競争入札の場合、手続きが煩雑かつ経費の増嵩が起こる場合などがあるため、本町では殆どの入札において、地方自治法施行令第167条第1項第3号の規定に基づき、事前に町が過去の工事等の実績、事業所規模等を考慮し、請負業者として適切と判断した事業者を登録業者の中から指名して入札を執行する、指名競争入札方式を採用している。
▽辞退者が出た場合の入札の適正性について
指名競争入札では、入札参加者において積算した入札価格が予定価格を超える場合や「手持ち工事の状況」、「監理技術者の配置」等を考慮して辞退する事業者が出ることはやむを得ないと言える。
そのため本町では、辞退者が出た場合に即入札不調とはせず、辞退者の数に関わらず、2者以上の入札参加者があった場合は、適正な入札としている。
▽高落札率による入札の適正性について
本町においては、入札参加者が積算した入札価格は、当該工事に対する「地理的条件」や「手持ち工事の状況」、「同種工事の実績」等のさまざまな要素が合わさった結果導き出されたものであり、予定価格の制限の範囲内であれば、落札率の高低に関わらず、適正な入札としている。
これは、地方自治法第234条第3項の規定に基づくものである。
▼監査委員の判断
▽主文
本件請求を棄却する。
▽判断の理由
請求人は、落札率が95%以上の入札は極めて談合の疑いが強いとの主張を行っているが、平成19年1月に名古屋高裁は、「入札価格や落札率をもって、直ちに談合の存在を推認することはできない」との判決を下しており、「高い落札率=談合」との主張を否定している。
また、前述した事実のとおり、令和5年度に本町において執行した全ての入札において、予定価格の制限の範囲内であれば、落札率の高低に関わらず適正な入札としている。したがって、落札率が95%以上であることのみをもって、本町の入札に談合あるいはその疑いがあるとは認められない。
次に、請求人は、町長の不法行為として当該事業において、町長とA社及びB社の間に不公正な入札手続が行われたことを疑うべき関係があると監査請求書において記述しているが、監査請求の対象が具体的に適示されておらず、また、本件入札について不公正な入札手続を疑うべき関係を証する証拠と認められるものは無い。
最後に、本町の指名競争入札は法令に基づき適正に執行されており、町長に裁量権の逸脱又は濫用はなく、町と本件請求に係るA社との間の本件請負契約を違法無効とする理由もない。以上のとおり、本町が実施する指名競争入札は法令等に何ら違反しておらず、本件請求に係る町長の不法行為による町の損害は認められない。
したがって、町は不当利得返還請求権、損害賠償請求権及びそれらに係る遅延損害金請求権を有しておらず、財産の管理を怠る事実もない。
よって、本件請求には理由がないため、監査委員の合議により、主文のとおり決定する。
※監査結果の全文は町ホームページで閲覧できます。
問合せ:役場監査委員室
【電話】201-4321
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