今月は水巻町出身で歌舞伎役者として活躍している中村扇せんじゅうろう十郎さん(本名…宮脇莫(ばく)さん)を紹介します。
■中村扇十郎(なかむらせんじゅうろう)さん
▽歌舞伎を始めたきっかけは
祖母と母の影響が大きいです。幼少期にテレビを通じて興味を持ち、長じて博多座で実際に観劇し、体感した事で魅了されました。その後、大向(おおむこ)う(歌舞伎特有の掛け声)、日本舞踊と少しずつ歌舞伎に近づいていきました。一社会人の頃、博多座で坂東玉三郎さんの公演に出演させていただく機会にも恵まれました。その都度、恩人といえる方々との出会いがあったのです。ご縁がご縁を呼び、歌舞伎界に入りました。
▽歌舞伎の魅力は
もともと「かぶき」という言葉は、奇抜な身なりや行動をするという意味の「傾(かぶ)く」が名詞になったものです。歌(音楽)、舞(所作)、伎(演技)、これらは舞台に欠かせない要素で、歌舞伎発祥以来400年の歴史のなかで磨き上げられてきました。舞台を構成する全てが洗練されている、それが歌舞伎の魅力ですね。
▽尊敬する役者は
私の師匠である三代目中村扇雀(せんじゃく)です。どんなお役にも誠実に取り組み、義太夫狂言では本行(文楽)の脚本を紐解いたり、また新作ではクリエイティブに富んだ役作りをなさいます。お傍でその過程を見せていただけることは何よりも勉強になります。
▽広報を読んでいる人にメッセージをお願いします
歌舞伎はもともと庶民のための芸能です。今では敷居が高く難しいイメージですが、豪華絢爛、笑いあり涙あり、多種多様な面を持つ歌舞伎をぜひ楽しんでいただきたいです。隈取、鬘(かつら)、衣裳、音楽(長唄や鳴物など)、台詞術、所作など、見所満載です。そして舞台で僕を見つけていただけると、とても嬉しいです。
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