■絶対儲かる・元本保証は全部詐欺
SNS型投資・ロマンス詐欺が多発中
老後資金や住宅資金など、こつこつ貯めた貴重な財産を一瞬で奪い取る詐欺行為。数年前まではオレオレ詐欺などニセ電話による詐欺が被害の多くを占めていましたが、現在、SNS型投資・ロマンス詐欺が激増。一生懸命貯めたお金が、一瞬で消えてしまう。そんな嘘みたいな悲劇が実際に県内で、田川地域で起こっています。今、注意するべき詐欺行為を防犯のプロ、田川警察署生活安全課 梁井健太郎(やないけんたろう)警部補に聞きました。
◆オレオレから20年
巧妙化するニセ電話詐欺
親族や警察官など、いろいろな立場になりすましたニセ者(犯人)が、電話を悪用して行うニセ電話詐欺。組織化された犯罪者グループによるニセ電話詐欺は、架空料金請求詐欺、オレオレ詐欺などで常に新たな手口が出現しており、近年、被害の認知件数、被害額ともに増加傾向となっています。令和5年中の福岡県内でのニセ電話詐欺被害は認知件数576件(前年比57%増)、被害額13億3149万円(前年比44%増)と令和4年から増加しています。
◆被害はニセ電話詐欺の約5倍
SNS型投資・ロマンス詐欺
ニセ電話詐欺に加え昨年下半期ごろから全国でインスタグラムやLINE(ライン)などのSNSを悪用した詐欺が激増しています。著名人などになりすまし「絶対に儲かる」「元本保証」などとうたい、メッセージをやり取りして関係を深め金銭をだまし取る『SNS型投資詐欺』や、同じようにメッセージのやり取りで信頼を深め、恋愛感情などを抱かせ金銭をだまし取る『SNS型ロマンス詐欺』の被害が多く発生しています。
被害が増加する背景にはスマートフォンでSNSを使ったメッセージのやり取りが普及して、容易になったことに加え、投資への関心の高まりも指摘されています。また、不安をあおるニセ電話詐欺と異なり、実際に金銭をだまし取る前に被害者に親近感や信頼感を抱かせる特徴があります。
警察庁の調査では今年の1月から9月末までに全国で判明したSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額が約974億3千万円にのぼっています。福岡県内でも令和6年1月から9月末までの9か月間で約56億円の被害が、田川警察署管内でも3件、約1410万円の被害が確認されています。
▽こんなに‼福岡県内での令和6年1月~9月末
ニセ電話、SNS型投資・ロマンス詐欺被害の実態
◆だまし取られたお金は回収困難
対策は詐欺を知ること・疑うこと
ニセ電話詐欺もSNS型投資・ロマンス詐欺も一度だまし取られた(振り込んだ)お金を取り戻すことは、非常に困難です。ニセ電話詐欺が疑われるときは、お金を振り込む前に家族や警察に相談ください。SNS型投資・ロマンス詐欺は時間をかけ信頼関係を築くことから詐欺の疑念を持ちにくい特徴がありますが、SNSの相手から金銭を要求されたときは、迷うことなく警察に相談してください。
◆詐欺の実態を知ることが防犯への第1歩!実際にある詐欺
▽絶対儲かる話なんてない!
SNS型投資詐欺
著名人の名前や写真を使って広告を出したり、SNSなどで投資に関するメッセージをやり取りし関係を深め、投資すれば利益が得られるものと誤信させ投資アプリなどに誘導し、投資金などの名目で金銭をだまし取られる詐欺。
予防のポイント:「絶対儲かる」「元本保証」という話は詐欺です
▽甘い言葉は偽装恋愛
SNS型ロマンス詐欺
SNSなどを通じて対面することなく、恋愛感情や親近感を抱かせながら関係を深め、架空の事実を口実として交際の継続や結婚を前提とした各種名目で金銭をだまし取られる詐欺。
予防のポイント:SNSの相手から「2人の将来のために投資しよう」などの話は詐欺を疑ってください
▽いまだに騙される人多数!
オレオレ詐欺
身内になりすました犯人からトラブルの示談金などの名目で金銭をだまし取られる詐欺。
予防のポイント:相手が身内を名乗っても、あらかじめ把握している本人の番号に電話をかけ直して確認を
▽未払通知に騙されるな!
架空料金請求詐欺
使っていない有料サイトの利用料金があるなど、架空の事実を口実とし、料金を支払わせようとする詐欺。
予防のポイント:身に覚えのない請求に対しては全部無視
■あなたの大切な財産を狙う詐欺にご注意を
「楽して稼げる」「投資で成功した人を紹介する」は詐欺を強く疑って!!
インスタグラムやLINEなどのSNSやマッチングアプリを悪用したSNS型投資・ロマンス詐欺が全国的に増加しています。県内では今まで詐欺被害の大部分を占めていたオレオレ詐欺などのニセ電話詐欺の被害と比較しても、令和6年1月から9月までの被害件数は500件あまりとさほど変わりませんが被害額はニセ電話の約11億円に対し、SNS型投資・ロマンス詐欺は約56億円と大きな被害が発生しています。
被害者の年齢層は10代から80代まで幅広く、多額の被害が発生しています。詐欺の入口に使われるツールはインスタグラムやマッチングアプリなど様々ですが、最終的な金銭の振り込み指示などの連絡ツールは約9割がLINEです。
被害者の多くは犯人と長い期間、SNSでやり取りを行っているため相手を信じ込んでいる場合が多く、多額の振り込みにもためらいを持たないことから、被害額が激増しています。SNSを利用する際は、必要に応じて受信拒否設定やLINEへの通報を行ってください。個人名義の口座へ入金依頼があったときは、詐欺を強く疑い、焦って判断せずに信頼できる人や家族、警察などの関係機関に相談しましょう。
また、田川警察署では、皆さんのお宅に訪問する不審な業者に対する注意喚起を行っています。不審な業者は突然訪問してきて、「今すぐ工事が必要」など不安をあおります。対応はインターホン越しに行い、必要がないときはきっぱり断りましょう。直接対応してしまったときは、その場では点検や契約などを行わないように注意ください。
問合せ:田川警察署
【電話】42-0110
<この記事についてアンケートにご協力ください。>